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瀬名は夢を見てうなされていた。
蝋燭の光で照らされる薄暗い部屋。部屋というには洞窟のような壁で、窓がないことから地下のように思えるそこには、怪我をした兵士が雑魚寝のように並べられていた。
その合間を縫って歩くワンピースを着た黒髪の女性が、しゃがみこんで兵士に触れた。
手のひらから眩い光が放たれ、兵士を包む。
みるみるうちに傷はいえ、まるで何事もなかったかのように綺麗な皮膚に変貌した。
それは超能力で治療したように見える。
苦しそうな呼吸をしていた兵士は、ハッと息を呑むように目を覚まして飛び起きた。
そこにやってきた大柄の男が兵士に声をかけると、兵士は慌てて男の背後にある階段へ駆け出して行った。
女性は悲しそうな虚しそうな表情を兵士に向けていた。
何か大柄の男に言われ、俯く。
おそらく「はい」と答えたのか、僅かに何かを発言した後、また兵士に触れて、傷を治して…それを繰り返していた。
……
場面が変わり、今度は地下ではなく大きな部屋にいた。
地下で見たような兵士とは違い、四肢が欠損している兵士も多い。
音や匂いは無いが、映像からは相当追い詰められている戦況と理解できた。
服も汚れ、少しやつれた例の女性は、この日も治療していた。
どうやら人の身体に触れる必要があるらしく、その手はいつからついているか分からない血で汚れていた。
彼女が触れると、欠損していた四肢すら復元されていく。
近くでそれを見ていた兵士や他の看護婦たちは、化け物を見るような目で見る。
いくら戦力が欲しいとはいえ、肉と骨が再生されていく様子は恐ろしい。中には嘔吐している者もいた。
時間はかかったが治療が完了した。
死を覚悟して虚ろな目をしていた兵士は、痛みが消えたことに驚きながら起き上がる。
女性はその様子を見て、また口を動かしていた。体調について尋ねているのだろうか。
次の瞬間、兵士が目を見開いたまま女性に放った言葉を、瀬名は確かに聞いた。
「なんで死なせてくれなかったんだ!!!この化け物め、人の命を弄ぶとは!!!」
「…!!!!!」
第三者目線で無音映画を見るような夢だったのに、最後の言葉だけハッキリと、しかも自分に向けられて言われたような気がして、
強烈な恐怖の元、瀬名は目を覚ました。
自分でも分かるくらい、心臓が早く強く脈打っている。
怖かった。誰の何を見たのか分からない、それも不気味だった。
(あの人、誰なの…見覚えがあるような気がする、尚更怖い…)
しばらく深呼吸を繰り返して気持ちを落ち着かせたが、また同じ夢を見たらという恐怖心が抜けない。
ひとまず、ベッドの横のサイドテーブルの上にあった自分のケータイを見るために上半身を起こす。
不思議と身体の痛みがほとんど無くなっていた。
それだけ時間が経ったのかと思いながらケータイを見るが、兵部と会話してから、4〜5時間しか経っていなかった。
「おや?」
「兵部さん!」
そこに瞬間移動で兵部が現れる。その手にはペットボトルがあり、冷やされているのか少し結露がついていた。
「もう起き上がれるのかい?ずいぶん早いな」
「それが私にもよく分からなくて…」
瀬名にペットボトルを渡しながら額に触れ、体の状態を確認する兵部。
本人の気のせいでもアドレナリンのせいでもなく、確かに8割型は回復しているようだった。
「…そうか」
「?」
「いや、なんでも無いよ」
少し含みのある言い方をした兵部。
瀬名もそれに気づいたらしく、不思議そうに見つめたが答えは得られなかった。
「体を起こしてるということは、寝るのに飽きた?」
「まぁ、そんなところ…じゃなくて、ちょっと怖い夢を見ちゃって。
その…」
寝るのが怖い、
と正直に言おうとしたが、それは瀬名の腹の虫に遮られた。
「お腹空いたね、僕もだ。一緒に食事でもどうだい?」
「ぜひ、お願いします」
差し伸べられた手をとる。
次の瞬間、2人は食堂に瞬間移動していた。
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