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慣れた手つきで冷蔵庫をあさる兵部。
中から、ラップがかけられたオムライスを2皿出してレンジで温め始めた。


「もしかして、作ってくれていたの…?」
「あぁ。といっても僕じゃなくて別のメンバーだけどね、
もちろん悠太の分もある。あいつが起きたら同じように食べさせておくよ」


目の前に出されたオムライス。ラップの内側についた結露から、作られてあまり時間が経っていないことがわかった。

両手を合わせていただきます、と言った瀬名を見てから兵部も同じようにする。
先に食べた瀬名のリアクションを見ながら一緒に食べてみせた。


「美味しい」
「それはよかった」


2口、3口食べたところで、瀬名は兵部を見つめた。


「兵部さん、あの…」
「どうしたんだい」
「聞いて欲しい話があります」
「…食事の後のほうがいいかな?」


こくり、と頷く瀬名。
兵部が返事をすると、2人はまた食事を再開した。









「それで、どんな話だい?」


2人は食堂から元の部屋に戻ってきた。
ソファに向かい合って座り、テーブルの上では兵部が入れたホットミルクから漂う湯気が揺れている。


「私と悠太の話」
「あぁ、特定の組織に所属することは避けていると言っていた件かい?」
「はい。今回、巻き込んでしまったしこうしてお世話になってるので…聞いてくれますか?」
「もちろん。でも、僕たちパンドラは純粋に同胞を助けたいのさ。見返りは求めていないから、無理しなくて良い」
「ありがとうございます。でも、あまり頼りたくないんです…これからお話しする事にも関わるので」


膝の上で握られた拳に力が入るのが分かった。
それを見た兵部は、まだ出会って日が浅いことを自覚する。

(なかなかすぐには心を開いてもらえないな)


「分かったよ。そう警戒しないでくれ」


流石に悲しげな兵部に気づいた瀬名が慌てて「そんなつもりじゃなくなくて、、ごめんなさい」と謝る。
瀬名が少し気まずさを感じていると、兵部がポケットから何かを取り出し、瀬名の目の前で開いてみせた。


「まぁ、お互い肩の力を抜いて仕切り直しと行こうか」
「…ふふ、昔よく食べた」
「僕も…今の瀬名と同じくらいの時に食べて、思い出深いんだ」


兵部が寂しそうな、懐かしむ様子でそう話す。
箱に入った四角いキャラメルをお互い一粒ずつ掌に落として、包み紙をむいて口に含んでから、瀬名は語り始めた。


「私と悠太は…名前のとおり日本で生まれ育ちました。親同士が友達だったから生まれた頃からの幼馴染です。
…って言ってもこれくらいは、知ってますよね」

この程度の素性ならすぐに調べはつく。それはパンドラもバベルも同じだった。
ああ、と兵部が小さくうなずいたのを確認してから、瀬名は続ける。


「7歳で超能力に目覚めました。不思議はことに、二人ほぼ同時に…。
もともと放置気味だった親は、それをきっかけに虐待するようになりました。」


揺れるホットミルクの湯気を見つめながら、当時を思い出す瀬名。
ゆっくり息を吸うと、続けた。






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