10-3
超能力が見つかってからの二人は学校も通わなくなり、家に閉じこもるか近くの公園に逃げる日々だった。
まだ力を制御できないため、能力が暴走することもたびたび。
物を壊したり、怪我をさせたり、そのたびに親からの虐待は悪化した。
それからしばらくして、不思議な男女が訪ねてきた。
緑髪を首の後ろで結んだ女と、赤い髪を肩につくくらいの長さまで伸ばしている男。
黒いスーツをきた彼らは、まだ20代くらいのようだがどこか場慣れした雰囲気があった。
「お子さんを引き取らせてください。」
「その代わり、こちらを」
女がどこからともなくアタッシュケースを出し、中を開けて見せる。
瀬名には、女が瞬間移動能力でアタッシュケースを出したことを見抜いていた。
瀬名の視線に気づいた女が、瀬名をみてにこりとほほ笑む。
「我々は世界各地でエスパーを保護しています。非合法なこともしていますが、世界平和のために戦地に赴き、戦っているのです。」
「このような力、そういった場面でしか役にたてられませんので」
瀬名は怖かった。この男の笑みが引きつっているように見えたからだ。
でも瀬名はテレパシーを持ち合わせていなかったので、今までも、この時も、人の本心はわからなかった。
「世界平和だなんて、ずいぶん大層なことを掲げるんだな超能力者たちは」
「…ええ、その大層なことを成し遂げられる、尊い力なんですよ」
瀬名の親が発した言葉に、赤髪の男が怒りを露わにしたのがわかった。
その瞬間、部屋には10個近くのアタッシュケースが瞬間移動で現れた。
二人は両親の意向を聞くまでもなく、瀬名に手をさしのべ、その家から救いだした。
「同じことを悠太の家でもやったらしいの。そうして私たちは組織に引き取られました。
そこで過ごす時間は本当に幸せだった。たまにやるエスパーの仕事は大変だけど、帰る場所が温かかった。
…でも」
瀬名の眉間にしわがよる。膝の上で組まれた両手はわずかに震えていた。
「ある日、その組織はとあるエスパーによって壊滅させられたんです」
→
-19-