06


「今度の連休中、あいてる日ない?」


昼休み、緑川は俺、海理、玲名を前にそういった。口々に言うと、緑川はにこりと俺に笑いかけてから、こう続けた。


「4人でさ、どっか遊びにいこうよ!」
「いいかも。どこ行く?」
「私はどこでもいいが」
「基山は?」
「あ、いや。とくには…」


しばらく沈黙が続く。それを破ったのは緑川で、何でアイデアが浮かばないんだと頬を膨らませていった。

玲名と海理は二人で「どこがいいかなぁ」と話あっている。かわって、俺はチャンスかもしれないと思った。海理に告白するチャンス。もし、もし付きあえるとしたら受験生になる前がいい。すれ違いの中悲しく終わるのは俺としては嫌だからだ。
それに、受験のことをそうだが3年になれば色々と忙しくなる。

今回のは、チャンスだ。


「誰も浮かばないんだったら、今日の放課後まで各自考えておくように!」
「分かったよ」
「はーい」
「分かった」



***



午後の授業が終わり、清掃の時間になっていたが俺にはいいアイデアが一つも浮かばなかった。

遊園地に男女4人でいくのは、ちょっとダメかもしれない。付き合ってもいないのにちょっとなぁという気がする。それにたしか海理は乗り物が苦手なはずだ。遊園地は却下。

映画も思いついたけど、つまらなかったら終わりだしまず4人の趣味が合う映画が簡単にあるだろうか。それもダメだ。


「ふう…」


ため息をつく。俺だけ浮かばないままかもしれないな…そう考えながら箒を動かしていると、近くを歩いた女子生徒2人の会話が聞こえてきた。


「この間水族館に行ったんだー」
「へえ、イルカのショーとか見た?」
「うん!やっぱりイルカって頭いいよね、」


ひらめいた。そうだ、水族館なんてどうだろう。俺の提案は水族館って事にしよう。



***



「じゃあ、発表な!」
「あー…っと…私、提案なしです」
「私もだ」


放課後の帰り道。歩きながら振り返った緑川が手をあげていったが、海理と玲名は申し訳なさそうに首を横にふり、目を細めてしまった。海理自身遊園地は酔うからダメだし、玲名もそれを知ってるから遊園地とは言わないんだろう。映画も、恐らく俺と同じ理由なんじゃないかな。


「俺、提案があるよ」
「本当!?」
「水族館ってどうかな」


その提案に海理の顔は笑顔になっていく。「私なんで思いつかなかったんだろう!」と言うところを見ると賛成なんだろう。
緑川を見れば「ナイス!」と親指をたてて笑っている。残る玲名を見れば、静かに頷いていた。


「それじゃ水族館に決定だな!」


かくして、俺たちは水族館に行く事になった。




(私イルカ好きなんだー!)
(イルカのショーがやってる水族館に行こうね)


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