水族館と魚と私と-2







「……ぐすっ」


言い合いの後、天理は家を飛び出し上空を彷徨っていた。
4人が喧嘩することは滅多にないのだが、今回はとあるきっかけで揉めてしまった。


ポケットに入ったケータイ以外、天理が待ち合わせているものはない。行く宛など、先日も訪れた祖母の家くらいしかないのだが…



「やぁ、どうしたんだい悲しそうにして」
「その声は、兵部京介!!」

やぁ〜と言いながら手を振る学ランの男…兵部京介が天理の背後にいた。この二人はどうやら顔見知りらしかった。
兵部京介がボスを務める組織パンドラと、ザ・チルドレンが所属するバベルはその理念と思想から敵対している。


「まぁ、僕たちの出会いはまたおいおい…」
「…誰に話しかけてるの?」
「いや、なんでも。
ところで、その様子だと女王達と喧嘩かい?」
「うん、まぁ…」


手の甲で涙を拭いながら頷く天理。兵部が知るよりもずっと弱々しそうな姿に、兵部は眉を下げた。



「まぁ、君たちなら大丈夫さ。ヤワな絆じゃないだろ」
「まあね…でもすぐには帰れないし、帰りたくないの」
「それなら…ちょっと付き合ってくれよ」
「?どこに?」


兵部は優しく天理の手を取る。自分の体に引き寄せ、頭を撫でながら答えた。


「今は内緒。でも、きっといい気分転換になるさ」




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