水族館と魚と私と-3.5




「…はぁ、びっくりした…」


本来なら瞬間移動で帰宅することもできたが、天理は念動力で飛行していた。
少し考え事をしたかったのと、先ほどの兵部とのやりとりの余韻の中にいたからだ。


(ちゃんと取り繕えたかな、「手強い」って言われたもんね…?)


超度7のテレパスである天理は、人の感情の動きに敏感だし、人のむき出しの本音の海に何度も晒されてきた。
紫穂と同様、人の黒い感情に触れてきた天理もまた、人の感情に一喜一憂することは少ない。

天理の母親が京都出身で天理自身も一時期住んでいたこともあり、
本音と建前の分離、感情と言葉の不一致に触れ、人間の複雑な部分を理解するには十分な環境だった。

もちろん、天理自身も本音を隠して周りに合わせるのが上手い自覚がある。

そんな天理が、先ほどの兵部とのやりとりで感情を隠せてきたか不安に思うのであった。


「中身がおじいちゃんだと分かってても、見た目が若いんだもんなぁ」

(ちょっとドキドキしても、仕方ないよね?)


赤らんだ頬に春先の冷たい夜風が当たる。
ふるふると頭を振って、気持ちを切り替えてから家に降り立った。




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