国王陛下のチルドレン-2
世界最小ながら日本への最大のレアメタル輸出王国
インパラヘン王国 バトゥラ17世皇太子殿下直々のお出迎えをきっかけに、特殊な輸送機でインパラヘン王国に降り立ったザ・チルドレン一向は、首都にあるインパラヘン宮殿に招かれていた。
もちろんチルドレンだけではなく、蕾見や皆本も同行している。
初めての海外任務に不安を抱える皆本と蕾見の元に、ドレスアップしたチルドレンがやってきた。
「ばーちゃん!皆本さん!」
「どないやろ、これ?」
「正式なディナーにふさわしいかしら?」
「プリンセスって呼ばれちゃあね、おしとやかにしないとね〜」
先にやってきたのは葵、紫穂、天理だった。
それぞれイメージカラーに合わせたミニ丈のドレスを着ており、ヘアメイクまで丁寧に施されている。
心なしか、いつもよりも背筋が伸びて凛としているように見えた。
普段と違う雰囲気に、皆本も驚く。
蕾見は素直にかわいいと褒めてくれたので、3人は嬉しそうに笑った。
「薫ちゃんは?」
「ホラ、おいで!」
「あ、ちょ、心の準備がまだ——」
まだ薫が来ていないことに気付いた蕾見。
葵がテレポートを発動させると、すぐに薫が現れた。
慣れていない様子で、エクステを触る薫。
普段、動きやすさからパンツスタイルが多いショートカットの彼女が、エクステで髪をのばし、ロングスカートにパンプスを合わせている。
超能力の豪快さからも、普段ボーイッシュな彼女が実に女の子らしい姿に変わっていた。
一番ギャップのある薫を見て、皆本は口があいたまま驚いていた。
「ど、どーかな?皆本…」
3人に背中を押されて前にでる薫。
「う、うん、いーんじゃないか?
女の子にしか見えなくてびっくりした」
「女装じゃねえっ!!」
あまりに粗末な感想に怒ってしまった薫は、サイコキネシスで皆本を壁に押し付けた。
すぐに蕾見が皆本を救出し、なんやかんやとやりとりをしていると、どこからか声が聞こえてくる。
「ほう…それが———バトゥラの連れてきたエスパーか…?!」
次の瞬間、天井が激しく光り、チルドレンの元にエネルギー弾が放たれた。
テレパシーで響くように聞こえていた声が、今度は実体として聞こえた。
「クックック…くだらぬ!!超度が同じでも私には勝てぬ!!」
そこには、巫女のような装束に身を包み、リング状のエネルギーを操る女性が立っていた。
突然の攻撃に、チルドレンは臨戦態勢をとる。
「なんか知らないけど、やる気なら相手するよ!!」
「イッたれ薫!援護する!」
「いっちょやるか〜」
薫や葵だけではなく、紫穂までも拳銃を取り出して構えている。
死ねチルドレン、という思念を受け取った天理も、いつでも三人をサポートできる体勢をとっていた。
だが次の瞬間、巫女の背後を取ったのは蕾見だった。
巫女の腕を掴むなり、放たれようとしていたエネルギーの塊が相殺される。
「お…お前は!!」
「久しぶりね、マサラ!今でも——
ここが弱い?」
背中が大きく開かれた衣装。蕾見が巫女の背中を指先でなぞると、巫女——マサラは艶めかしい声を出しながら背中を反らした。
それを繰り返し、マサラの呼吸が乱れ跪いたところで、しびれを切らした皆本の平手打ちが蕾見を襲う。
「こ…子供の前で何やってるんですかあんたはっ!!」
「お、おばばさま!!」
そこへバトゥラがやってきた。ここで戦うのは反則だと訴え、一同を外に連れ出した。
レアメタルの結晶でできた巨大な石像、その前の玉座に腰を据えていたのは、先ほどの巫女の衣装と似た服を着た…ミイラだった。
インパラヘン王国は、エスパーが務める巫女と、その巨大な石像——「賢者の像」のおかげで、周辺諸国に劣らず国を維持してきたのだという。
そしてその玉座に座り息をひきとったエスパーの魂は、像に宿り死後も生き続け、その中に歴代エスパーたちの魂が蓄積されているらしい。
「残留思念……!レアメタル結晶には思念波を記録する性質があるの…?!」
「はい。力はかすかなので巨大な結晶が必要になりマスが」
「そしてサイコメトラーならそれを引き出せるわけか…!!」
蕾見は我が国の超度7のサイコメトラーに目をやる。
もとより紫穂は幽霊が苦手なので、皆本にしがみついて断固拒否していた。
その横で、複合能力者としてサイコメトリーを使える天理も、顔の前で手を振り拒否している。
「だから巫女にはサイコメトリーが必須…加えて他の能力があればベストなの。
私たちは代々、そうやって過去のエスパーの能力を全て蓄積して活用してきたわ」
ミイラに触れながらマサラは続ける。
今、身体を借りている巫女の名は「セラ」。超度7のサイコメトラーのおかげで、人格と能力を完全によみがえらせることができるのだ、と。
すると、マサラの脳内で意思が強く反応する。頭を押さえて蹲るマサラを見て、バトゥラは「セラか?!」と呼びかけた。
それに反応した巫女は、顔を上げるなり「殿下!」と答える。
「君の言う通り、日本のエスパーを連れてきたよ!必ず君を救ってくれる!」
「では、もう少しの辛抱なのですね…!!」
「愛しているよ、セラ…!!」
「お慕い申し上げております、殿下!」
二人が熱い抱擁のあと、唇を重ねようとしたその時。
マサラの意識が戻り、拳が振るわれた。
「何しとるかお前らわーーー!!王族と巫女の結婚はご法度じゃ!!掟を守れと言っておろうが!!」
「ちくしょう!!私にもっと力があれば…!!」
「愛し合ってるんだからさ〜〜許してあげたら?」
「断る!!私だって死んだ後を楽しみにしてたのよ?!それに年寄りとして言わせてもらえれば——
こんな恋愛、一時の気の迷いです!!エスパーとノーマル!!王族と巫女!!住む世界が違うでしょ?!
年だってセラの方が上なのよ?!
「…!!」
「それでもというなら——古の作法に従い、王の選んだエスパーに私と戦ってもらいます!!」」
マサラの訴えに反応するチルドレン。
皆本はチルドレンを戦わせることに反対したが、4人はやる気だ。皆本の前に一歩出る。
「おもろいやん?」
「要するに、勝てばつきあってもいいんでしょ」
「私たちが受けて立ちましょうか」
「本気で好きなら、そんなカベ、 なんでもないじゃん?!あたしたちが超えさせてやるよ!!」
特に薫には、強い思い入れがあるように感じた。
それに気づいた蕾見は少し嬉しそうに反応するが、皆本は難色を示す。
「い、いやでも、そーゆーのも多少は気にしないといろいろホラ、
と…特に年の差とか?」
「黙れ!!」
「ひい!!」
マサラを除く全員からの圧を受け、薫のサイコキネシスと蕾見の蹴りで物理的にねじ伏せられた皆本。
「自由恋愛のために戦うぞーっ!!」
「よく言ってくれまシタ!!では結界の中へ!!」
バトゥラの案内でフィールドに入るチルドレン。結界をくぐる感覚は当人たちにあったものの、中に入った彼女たちを見て一番驚いたのは、皆本だった。
「!!んな…?!」
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