Act-06 給食
「やったー! 給食の時間だぜっ!」
4時間目の授業が終わってガッツポーズを取ったのはクラス一番の大食漢である元太である。
「もー! 元太君ってば給食の時間になると元気になるんだからぁ」
呆れたようにいう歩美
「給食? ランチを給食というの?」
「そうよ。 外国だと食堂やカフェテリアに行く場合が多いと聞いているけど、日本は給食といって、学校の中に食事を作る所があるの。パンとか牛乳はセンターから届くんだけどね。」
ガタガタと、牛乳瓶とパンがおいてあるカートを教室に入れる小林。
「はい、給食当番さん。皆の机に牛乳とパンを置いて下さい」
「はーい」
割烹着を附けた生徒が牛乳を配り出すと、ガラガラと大きな音がして、マスクをしたエプロン姿のおばさんが大きな鍋を運び込む。
「おばさん。 今日はなんだ?」
「今日は鶏肉とたっぷり野菜のクリーム仕立だよ。はい、皆、お皿持って並んで並んで〜〜」
「俺の大盛! 沢山くれよな!」
「ダーメ! 皆と同じだよ! 均等に配って残ったらお変わりしなさい」
「ちぇー。 こんなんじゃ全然っ足りねぇよ。俺、育ち盛りなんだぞ。残ったのなんて肉が無いんだぞ!!」
「元太君は少ない位で丁度いいんだよ! それ以上太ると小児肥満で糖尿病になって何も食べれなくなっていいのかい!」
「ちぇー…」
わいわいと賑やかに会話が飛び交う。
「給食のおばさんだよ。 おばさんやおじさんたちが、おかずの入った鍋を給食室から教室迄運んでくれるんだ。3年になったら2人組で廊下の端にある給食用カートの中からクラスの番号が掛かれたものを引いてくるんだ、人数分のおかずが入った鍋なんて独りで持てねぇからな」
「そう… 」
(言葉遣いが子供と大人と混じってるのは業と? それともー……?)
皿を持ったコナンの言葉に桜は口角を上げる
「あー、ほらほら、そこの銀の髪の生徒は初めて会うね。遠慮しなくていいからお並びよ。」
「並ぶ?」
きょとん、となる桜
「おばさん。白銀さんは日本語喋れるけど亜米利加からの転入生なの。日本は初めてで、食物アレルギーがあるから覚えておいてくれるかしら?」
哀がフォローするように応える
「食物アレルギー。 ー…そういえば、確か心臓の手術をした関係で薬品アレルギーがあって、乳製品もアレルギーで食べられないものがある生徒が1人増えるって言ってたっけね。 他のクラスに蕎麦アレルギーの子がいるけど。 お嬢ちゃんの事だったのかい」
「うん。だから、御免なさい。給食の殆どはお弁当になってしまうの」
「そっか。 でも、アレルギーはおっきくなったら改善される場合があるからね! 乳製品が食べれなくても美味しいお菓子も沢山あるし。 今度マクロビスィーツっていって、生クリームや白砂糖と使わなくても美味しいケーキを売ってるお店を教えてあげるからね」
「ありがとう、おばさん」
桜はにこりと笑う。
「桜ちゃんは給食、食べた事ないの?」
「手術は成功したんだけど、薬品アレルギーもあって、食べられない食材が多くて。 乳製品は加工してあれば少しは食べられるけど、牛乳は駄目。 勉強はパパがお勤めしてた会社の部屋を借りて家庭教師に教えて貰ってたから、お食事は社員食堂のアレルギー対応食だったし。」
「あ、そか。」
「アレルギーかぁ。 俺、アレルギーがなくて良かった。うな重が食えなくなったら生きられない。あとカレー!」
「そうだわ。 小嶋君、私の牛乳、飲んでくれる?」
元太の言葉に桜が机に置かれた牛乳パックを示し乍いう。
「いいのか!? くれるのか!?」
「ええ、あげるわ。 折角配ってもらったけど残すだけだもの。」
「やった! お前、良い奴だな! 俺の事元太って呼び捨ててもいいぞ! 俺も桜って呼んでやるから!」
「あー! 元太君、抜け駆けは駄目ですよ! 僕だって桜さんって呼びたいです。 もしよければ、僕の事は光彦って呼んで下さい!」
「うっせー! 牛乳はやらないぞ! 俺が貰ったんだ」
「僕がいいたいのはですね!」
会話を聞いていた小林が面白そうに笑う。
「あらあら、モテモテね。白銀さん。」
「先生。 小学校ってこんな事で喧嘩するの?」
「喧嘩というよりじゃれ合いね。」
きょとんとなった桜を見て、哀は溜息を付く。
「ほら! いい加減にしなさいよ。アンタたち! 白銀さんが呆れてるわ。 給食の時間が無くなったらクラス中に恨まれるわよ!」
「「あー…」」
哀の言葉にじゃれ合いを止める元太と光彦。
「はい、元太くん。」
桜が牛乳を渡す。
「お! さんきゅーな」
「You're welcome ー… こちらこそ、飲んでくれてありがとう。でも、明日は元太君以外で欲しい人にあげるわね。誰も居なかったら元太君にあげるから。 元太君ばかりにあげたら贔屓になってしまうもの」
「う。あ… うん。 そうだよな! じゃあ、どうすっかなぁ」
「その日のおかずとか欲しい人でじゃんけんをすればいいのよ。 3日連続は駄目、とか決めてね。勿論、白銀さんが食べられるメニューの時はナシよ。」
「そっだね。 そうすれば食べ物、無駄にならないものね」
歩美が言う。
「さぁさぁ、話がまとまった所でお昼にしますよー。席について」
「「はーい」」
「日直さん、お食事前の御挨拶をお願いします」
「はい! 給食のおばさん有難う。いただきます!」
「「いただきまーす!」」
「はい、召し上がれ」
子供達の元気な声に給食の小母さんもにこにこと笑って言葉を返した
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