Act-13 招待
「桜ちゃんのおうちにご招待? 本当!?」
「来月になっちゃうけど、白馬のおじ様がね、子供だけのティーパーティをしたらどうだって言ってくれたの」
「子供だけの?」
「外国じゃお友達を招待してガーデンテラスでバーベキューとか珍しくないから。折角ならお茶会をしたらどうだって言ってくれたの」

下駄箱の所でバッタリと会った少年探偵団の面々は桜言葉に歓声を上げる

「しかもお茶会、ですか!」
「俺、うな重な!」
「お茶会に鰻は似合いませんよ。 スコーンに、キューカンバーサンドウィッチ、紅茶とケーキがアフタヌーンティーの王道です」
「物知りなのね、光彦君」
「えーと、 実は、姉さんからの受け売りです。 最近アフタヌーンティに凝ってて、色々な紅茶とか買ってくるんです。」
「あら、素敵な趣味ね。 私も紅茶大好きなの。 パパは珈琲で白馬のおじ様も珈琲なんだけど、探君と私は紅茶なの。」

「白馬のお兄さんはイギリス暮らしって聞きました! イギリスは紅茶が美味しいって、いいますよね」
「イギリスのスコーンはとても大きいのよ。 大人の握り拳位かしら。 ケーキもとても大きいの」
「そうなの?」
「うん。焼きたてのスコーンを横に割ってクローテッドクリームとジャムをたっぷり付けて食べるの。 サンドイッチは食べやすいサイズでハムチーズや玉子サンドとかも有るわ。 ばあやの料理を楽しみにしててね。 来週末頃には招待状を持ってくるわ」
「わぁー! 招待状!? 来月が楽しみ! ね、コナン君」
「ぇ、あ、あぁ。」

コナンはお茶を濁す。

「江戸川君が音痴だからって、心配しなくてもお茶に塩を入れたり、歌を歌えとか、ピアノ引いてとか言わないから安心して。」

ニコッと笑う桜

「あー…… まぁ、音楽のテストに関しては反省してるけどさ」
「当たり前よ。 私の鍛えた聖歌隊が何回コンクールで優勝してると思って? プロデビューした子も居るのよ」
「ー…… 優勝?」
「そうよ。 」

にこりと笑みを見せる桜

「司祭様が仰ったわ。 桜はデメリットの高い身体で産まれたけれど、代わりに音楽の女神の祝福を浴びて産まれた子供だと。」
「へぇ。凄く良い事を云うのね、その司祭様は」
「でしょ? だから、桜は亡くなった方が天国に逝けるように讃美歌を唄ってあげるの。 アメリカでもパパのお友達が埋葬されてる墓標の前で唄ってた。」
「きっと、天国にいってますよ、その人達!」
「俺も光彦の云う通りだと思う。」
「絶対行ってるよ! 歩美もそう思う、ね、哀ちゃん」
「そうね。吉田さん達の云う通りよ。 最も、江戸川君は認めたく無さそうね」
「ンなこと無いよ!」

コナンは慌て否定すると話題をかける。

「そういえばさ、白銀さんの家には鷹が居るの?」
「鷹? レディー・ワトソンの事?」
「ワトソンっていうんですか? 昨日、鷹を飼ってるなら会いたいって話てたんです」
「とっても賢いの。 鷹を飼ってるせいか、探君のお家の近辺は烏が来ないから道も綺麗よ。」
「鷹は烏の天敵ですものね。 野球場とかでも烏対策に鷹を使うって聞いたわ」
「へぇ?」
「時々、烏やハトの糞とかで道が汚れてると、ボランティアでワトソンを飛ばすの。 そうすると暫くは烏もハトも寄り付かないのよ。 前に見たの。 烏が自分達の領域に入っていたワトソンに襲いかかるけど、ワトソンは歯牙にもかけないで追い払ったわ。 ワトソンは探君のパートナーなのよ。 探君は頭脳派探偵だから、麻酔銃とか盗聴機とか使わないし。そんなのに頼らなきゃ犯人を特定出来ないのは子供位だって言ってる。アドバイザーとして、科捜研の力を借りるのは良いけど、探偵は一般人。 機械の力を借りるのは自分に自信が無い証拠。有名になりたくて新聞や雑誌で騒がれたいのは自意識過剰なお馬鹿さんのする事よ」
「ー………っ」
「どうしたの、江戸川君」

にこり、とした笑顔にコナンは頬をひきつらせる。

「でもよー、俺達は探偵団だから、武器の1つや二つ」
「確かにコナン君のメカに助けて貰った事もありますしね」
「自分で作ったものならいいと思うけど、人に作って貰ったのはどうかしら? 逮捕出来ても半分以上は他人のおかげ。自慢にはならないわ。 自分で作ってないという事は作った人の苦労を知らないから壊れたら直して、になってしまうでしょ?」
「確かに」
「スケボーとか良く壊してるよなー」
「その度に博士に直してもらってますね」

うんうん、と光彦が頷く。

「コナン君は沢山機械持ってるけど、それで助かった事もあるよ? それでもダメかなぁ?」
「私達みたいに大人に太刀打ちできないから、というなら兎も角、大人になってからも機械に頼るようなら失格ね。 あの器械、この器械、でメカに頼っての解決はどんなに推理ができても自分の力とはいえないわ。 探君はバイクは使うけど武器は必要ないって使わないもの。 事件解決しても、自分の力だとは絶対言わない。 探偵は目立たない方がいいっていうの」
「そんなもんか?」
「探君のパパは警察の幹部だから、だと思う。 僕が頼めば分析の1つ二つ直ぐにしてくれるし、銃を撃っても見て見ぬふりをしてくれる。 けどそれは自分の力じゃないからって。 確かにおじ様の名前に助けられる時も有るけど、解決しても、絶対に自分の名前は出さないわ。 だから、ヤードも探君に依頼をするの。」
「ー………(こ、コイツ、痛いトコを…!)」
「なんか格好よくねぇか?」
「うん。 うまく言えないけど」
「謙遜ってやつですよ。 コナン君の師匠である工藤新一さんは事件解決するとよく新聞に載ってったていいますが、白馬さんは裏で活躍中の影のヒーローみたいです。」
「その言葉、探君が聞いたら喜ぶわ。 ー……どうしたの、江戸川君?」
「あ、いや」

コナンは顔を引きつらせる。

「(工藤新一を知ってるような言い方をしてる。 新一=コナンって事は灰原と博士以外は知らねえ筈だし)」
「コナン君? 急がないとHR始まるよ。 」
「ぇ! あぁ。」

歩美の言葉にコナンは小さな溜息を付く。

「(彩華―… あの、唄に対する自信は、さーやにそっくり。 銀色の髪と翡翠の瞳。 誕生日も違うし名前も違う。 でも、さーやが普通に成長していたらあんな感じになっている筈。)」

哀は行方の分からない妹への記憶を走らせた

(お願い、生きていて。 私が―… いつか、貴女の躰を治すから。 止まった時を動かして、あげるから)
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