離別編Act-4 家族
「君! コナンー! コナン君!」
(蘭?)
「良かった。気が付いた!?」
「僕ー…?」
「心配したのよ? 新一から、コナン君が勝手に車の後を追って行ったって聞いて。」
「確か、白銀さんが、妙な男の運転する車に乗ってー… 僕、それを追って」
「コナン君? コナン君が追ったのは怪しい車でしょう? コナン君が事件と思ってローラーボートで追いかけたって。 新一が偶々見かけて連絡くれたのよ?」
「ぇ? 新一兄ちゃん?」
「そう。 ほら、電話したら、10億円犯人が、自殺した倉庫に付いたからお参りして帰るよって。 」
蘭が溜息を吐く
「倉庫の持ち主が見回りに来て、たき火のような影を見て、消火器片手に倉庫に入ったら怪我して倒れてるコナン君見つけて、救急車呼んでくれたのよ。」
「そう、だっけ?」
ズキッと頭が痛んだ。
「来月取り壊しが決まって、更地にするまでホームレスが居着かない様に1日に1回、見回り強化してたんですって。」
「そうなんだ…… っって」
「2週間位はローラーボードもサッカーも禁止だからね」
「え! そんな!」
(ローラーボードが使えねぇ、だって!?)
「当たり前でしょう! 一体どこに置いて来たの? エンジン部分は特注だからデパート行って買い直しが出来る代物じゃないんだから!」
「新しいの、何時貰えるんだ?(白銀が捕まってるのをみて、それから―…? いや、違う、 殴られて? どこへー…?)」
「コナン君!! いっつもいっつも博士から貰ってばかりで! 子供だからってそうそう簡単に強請るなんて常識知らずって居われるわよ!!」
「ぅ… あ、… で、でも!事件解決には必要なんだもん!」
「あのね、コナンは小学生! 新一のような真似をするのは10年早い! 新一だって推理ばっかで出席日数ギリギリだから、成績よくて、工藤優作と工藤有希子の息子だからといって進級させるような事はさせずに留年確実って先生たちに言われてるのよ!?」
(げ! マジかよ)
「まぁ、気の毒ではあるけど、中学と違って高校は出席日数ってものがあるからしょーがないのよね。1年の時なんてあと2日だか3日で留年する所だったのよ! 新一のお父さんとお母さんがどれだけ頭下げて謝ってたか、あの推理馬鹿が知らないだけで」
「ー…(そーいや、2月の時は目暮警部からの電話が無くて、問い合わせても協力できる事はねぇって言われて、TVみて犯人の情報言ってもとっくに分かってるって相手にしてくれなくて仕方なく学校行ってたっけな)」
コナンは顔を引き攣らせる。
「君達も分かった? あまりに事件解決に夢中になってると新一のように留年する事になっちゃうかもしれないんだから、ちゃんと大人の人に相談してから動く事」
「出席日数たりなくて留年、なんてみっともない事は、真似しちゃいけないんですね」
蘭の言葉に光彦が言う
「そうそう。新一は馬鹿だから知らないだろうけど、探偵になるには元が刑事とか弁護士とかの経歴も必要なのよ。 高校生って事で持て囃されるだけなんだから。」
「新一にーちゃんも大したことねーんだな。 俺達はそうならねーよに、しねーと!」
「そうだね!」
光彦と元太と歩美の会話にコナンは頬を引き攣らせっぱなしだ
「ともかくね! その足ではボールだって蹴れないんだから、蘭さんのいう事聞いて暫く大人しくする事ね」
「は、灰原?」
「本当に、コナン君は1人で走り過ぎです!」
「俺達が一緒ならお前ヘマして怪我しなくてもすんだかもしれねーんだぞ」
「哀ちゃんのいう通りだよ! 皆、心配したんだからね!」
「わりぃ…」
コナンは4対1で部が悪いと思ったのか素直に謝る。
「そうだ! 白銀さんは? アイツ、いつも、ばあやさんの車しか乗らねぇのに違う車に乗ってたのを見てー…」
「桜ちゃんは忌引きでしょ? お父様が事故でー… 警察官だった事から、ペンタゴンの将軍と軍隊の将軍の出席の葬儀が営まれるそうよ。」
「国防総省に軍隊!! (赤井さんって、どんだけ凄腕なんだよ…)」
「凄かったんですねぇ! 桜さんのお父さん!」
光彦が言う。
「普通の刑事の殉職は2階級昇進での葬儀ですものね。」
哀が答える
「そうなの?」
「でも、昇進して、遺族年金や保証金が支払わせた所で、失った家族が帰ってくるわけじゃないからー… ましてや白銀さんのお母さんは彼女を産んで直ぐ亡くなったというし」
「か 可哀想、だよね。」
歩美の目が潤む。
「ねぇ、蘭お姉さん! 桜ちゃんのパパを殺した人、まだ捕まらないの?」
「そ、それは…」
蘭はいいよどむ。
「僕らが見つければいいんですよ!」
「そうだぜ! コナンの足が治ったら事故った場所に行ってよ!「駄目だ!」」
元太の言葉にコナンが声を荒げる
「コナン、君?」
「あー…、いや、そう簡単に捕まるような犯人じゃないと思ってー…」
「江戸川君にしては妙な言い方するのね?」
「何時もなら率先して犯人逮捕で動きたがるコナン君が…」
「え、あ、う… そ 、それは僕も気になるけど」
「だったら! 足が治ったら犯人捜ししてあげようよ!」
「桜さんが可哀想です!」
「駄目って言ったら、駄目なんだよ! お前らにしゃしゃりでられたら俺が困るんだ!」
コナンは怒鳴る。
「コナン君! 酷い!! クラスメートのパパが死んだのにっ」
「そんな言い方するなんて!! 君はそれでも探偵団の一員ですか!?」
「サイテーな男だな、コナンは」
「ー… 違うんだ! お前らに危険が… !!」
「だからってしゃしゃり出たら困るって、どういう意味かしら、江戸川君?」
「っ、そ、それは」
「ー… いいのよ、歩美ちゃん、光彦君、元太君、哀ちゃん」
カラカラ、と静かな音がして喪服のようなグレーのワンピ―ス姿の桜が姿を見せる。
「それだけ大声出せるなら、立ち寄る必要無かったわね。」
「桜ちゃん!」
「桜さん? どうしてここが」
「こんにちは、蘭さん。一昨日、歩美ちゃん達がプリントを届けに来てくれた時、江戸川君が持ち前の好奇心で事故にあってこの病院に入院したって教えてくれたでしょう? 私、月1回のアレルギー検査が今日だったから、主治医の居る病院はここじゃなかったけど、帰り道に寄って見たの」
「それでわざわざよってくれたの?」
蘭はコナンを睨み付ける
「わざわざありがとうね。なのにコナン君ってば、全く!」
「いいの、蘭さん。 目暮警部が言ってたの。パパの車は鑑識で分析ができない程燃えてしまって科学技術班でも使われた銃の特定は絞り込めないそうよ。 遺体も―… 無事だったのは右手の一部とー…奇跡的に焼け残ったこのキーホルダーだけ」
手に持っていたバックの中から僅かに変形していたがドーム型のキーホルダーを見せる桜。
「それ… オペラ座?」
蘭が目を止める
「蘭さん、知ってるの?」
「うん。 お土産にもらった事があるの。 新一のお母さんが、友人のお嬢さんがバレリーナデビューの時に、ボックスシートに入った人しか買えないキーホルダーってくれたのよ。」
「パパと、パリに行った時に強請ってバレエを見せて貰ったの。 パパ、オペラ座の支配人に顔が効く人を知ってて。 その時にね、お勉強を見てくれる、お兄さんやお姉さん達のお土産に色違いで沢山買って貰ったの。」
「あ、あのっ! コナン君が言った事は気にする事ないですよ! コナン君が動かないなら僕らが犯人探す手伝いしますから!」
「そうだぜ! 俺達が仇討ってやる!」
「だからっ! 駄目だっていってるだろう! 1回で分かんねぇのかよ! っ〜!」
コナンが怒声を上げて蘭に拳骨を食らってー… 桜を見てはっと息を飲む
「ぁ、 ち、違うんだー… 危険、だと思って」
「コナン君が事件に首を突っ込んでるのは日常で怪我をするのは自業自得だけどね! だからといってそんな言い方するなんて! 御免ね、桜ちゃん。 コナン君は後でお父さんから、拳骨付きでみっちりお説教しておくから!」
「ー…」
黙り込んだ桜に蘭が慌てて言い添える。
「まるでー… パパを殺した犯人を庇う様な怒り方ね、江戸川君?」
「ぇ、あ、ち… その、僕は」
「確かに、日本警察だけではー… 難しいわ。 でもね、パパはアメリか人で警察官。 パパが所属してるのはアメリか連邦捜査局。ビュロウにはー… IRTもある。」
「あいあーるてぃー?」
「アルファベットでIRTと書くの。 簡単にいうと国際捜査班。 海外で凶悪犯罪に巻き込まれた可能性がある米国人を現地に飛んで救うのが仕事。私と仲良しのお兄さんやお姉さんがいるBAUとはとても仲が良いの」
「へぇ… すごいんですね」
「だからね、江戸川君のいう通り、危険な犯人捜しはしないで。 パパが凶悪犯罪に巻き込まれて殺されたんだとしたらー… その犯人を捜そうとしてくれる光彦君や元太君が大怪我をするかもしれない。 歩美ちゃんや哀ちゃんが怪我したら、あなた達のパパとママが、桜のような思いをするかもしれない」
「で、でも」
「パパの死因は頭に受けた銃創ー… つまり、頭を撃たれたんですって。」
「頭を!?」
「犯人はパパの躰を車ごと焼いて、証拠を消そうとしたらしいの…」
「そんな酷い事をー…?(桜ー…もしこの子が彩華だったら、此処まで守って、育ててくれた人が殺された?)」
「パパの躰は本国でもっと詳しく解剖する事になってるの」
「に、日本で火葬にするんじゃ無いの?」
「江戸川君は知らないでしょうけど、パパも私もアメリカ国籍よ? 信心深くないけれど、一応カトリックなの。 それにー… これでも私、聖歌隊のメンバーなの。何ならレクイエムを此処で歌ってあげましょうか?」
(ヤバイ。 赤井さんじゃねぇって事がバレる)
「日本でわから無い事も、アメリカだったらわかるかもしれませんね!」
光彦がいう。
「アメリカに帰っちゃうの?」
「パパの国葬が有るから一度帰るけど、来月には帰って来るわ。」
「戻って、来るの?」
「問題があるかしら?」
コナンの言葉に桜がコテン、と首を傾げる。
「パパは1年分の家賃を前払いで払ったの。だから、家賃の契約が切れる時まで日本にいるわ。 その後は、多分、アメリカに戻ってパパの実家のおばーちゃまに引き取られる事になると思う。 おばーちゃまっていうよりおじーちゃまっていう方がピッタリの男まさりでパパと本気で殴り合った事もあったんですって。まーくん …… おばちゃまは一緒にお風呂入らないと女性って解らない位。 男の子だったらイケメンのおじちゃまって自慢しちゃうんだけどね。」
「おばさまが嫌いなの? まーくんって」
「んー… 言葉使いは男だし、お風呂上がりも下着姿で歩きまわるし。 時々おじちゃまって呼びたくなるくらい。 多分だけどブラのいらないAカップだわ。 ー…もしかしたら付けてないかも」
「ブ…っ 桜ちゃん、意味わかってる?」
蘭が頬を染めて桜はコクンと首を縦にふる。
「えーかっぷ?」
「ブラのサイズ。 Aはまな板に近いって事だわね… バストとウエストが殆ど同じって事だけど、付けなくていいって… 少し言葉が悪いような気をするわ」
哀が溜息を吐きながら答える
「ー…って事は」
「蘭姉ちゃんは、差があるから、”まないた”じゃないって事だな!」
「げっ 元太、体系の話は、女性を前にして聞いちゃダメだって、園子姉ちゃんが言ってたよ」
「園子お姉さんも差があるから”まな板”じゃないって事ですよね!」
「い、いや違うって!!」
コナンが慌ててフォローに走る。
「歩美おっきくなったら蘭おねーさん位になるかな?」
「歩美ちゃんならきっとなります」
「ホント?」
「えぇ! 蘭さんのようにスタイルのいい女性になると思います!」
「俺もそう思うぜ!」
「で、でもそのおばちゃんもきっと」
「無理だと思う。 毎日の服装からして男だし。言葉も男だし。 前にパパとおばーちゃまとあばちゃまと一緒にデパート行った時にね、女性トイレが混んでたの。 おばちゃまは迷うことなく男子トイレに入ってバレないのよ? 信じられる? パパも、あいつは性別間違えて産まれてきたって言ってた。」
「ず、随分とボ、ボーイッシュな人なのね? おばちゃまって幾つ?」
「高校生。」
「こっ …… 」
「あははは…で、でもそーゆーのはスレンダー体系って言って大学生とかになったらきっと。」
「本人も年ごろになったらボーンとでてくるって言ってる。でも高校生は年頃でしょ? なのにAカップっておかしくない? 」
「そ、そこんところはちょっと…」
「パパの仕事先のおねーさんたちは皆胸あるし、おばーちゃまもあるのにおばちゃまだけないのっておかしいと思う。あ、でもパパに鍛えて貰って体力はあるわよ。パパに比べたら全然強く無いけど、普通の人としては、そこそこ強いし、パパや養子に行ったおじちゃまに比べると成績はいまいちだけど人並みの成績だもの。 パパの影響でやたら推理好き。素材はいいのにタイトスカートでドタバタしてスリットを破って怒られてた」
(な、なんか変な方向に話それたけど、安心していいのか悪いのかコメントに困る話題だな。 空手をやってるからかどうかわからねーけど、蘭のスタイルがいいのは事実だし。)
コナンはあーだこーといいあう探偵団の子供たちの話題がそれた事にほっと息を吐いた。
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