離別編Act-5 BAUと探偵団 後編
『私達の事を良く知ってるようだけど、私も貴方達の事を聞いてるわよ?』
「ぇ?」

英語で喋り出した哀の言葉に目を丸くするデレク

『と、行っても今の会話で名前も分かったし、色々と教えてくれたから推理する事も無かったけど。お茶会の時に魚の包紙のチョコレートを送ってくれたでしょう?』
『あ、なる…』

哀の言葉に苦笑する

『貴方がBAUを率いてるホッチナー捜査官。そして躰付きのいいお兄さんはミスターユニバースと呼ばれてるモーガン捜査官で金髪のお姉さんがジャロウ捜査官。いつも個性的な服を着て、それが不思議と似合うのがテクニカルアナリストのガルシア捜査官で細身のお兄さんがリード捜査官よね?』
『正解! 英語が上手ね』
『哀ちゃんはイギリスに居た事があるの。だから英語上手なのよ』
『なる程ね』
『兎も角。 桜は無事だったんだからこれからの事は白馬邸で相談するとしようか。』

ポン、と桜の頭を撫ぜるホッチナー

「あのっ! お兄さんとお姉さんたちが、桜ちゃんのパパを殺した犯人、捕まえてくれるの?」

JJの服を掴んで縋りつくような目を見せる歩美

「勿論。 私達はその為に来たのよ。桜は私達の妹であり娘であり、大切な仲間なんだから」

JJが柔らかな微笑みを浮かべてしゃがみ込んで歩美の頭を撫でた時

「蘭〜! 差し入れのケーキ持ってきたよ! ガキンチョどもの分も買… っって!! うわ! 部屋間違えた!?」

ガラッとドアを開けたものの、見慣れぬ面々におかっぱの少女はドアを閉めかける

「園子!」
「あれ? 蘭? どーしてイケメンと美人の外人軍団がガキンチョの病室にいるのよ?」
「ガキンチョって… 失礼よ」
「園子姉ちゃん、 このお兄さんとお姉さんは僕に会いにきたんじゃなくて白銀さんのお父さんの同僚だよ」

コナンがフォローに入る

「へ!?このイケメンに抱っこされてるガキー…、じゃない、桜ちゃんのお父さんのご同業? しかもこのスキンヘッドのお兄様、真さんに負けず劣らずの良い体格してる!」
「そ、園子ってば! 友人がすいません。悪気があったわけじゃなくて」
「ご心配なく。多少言葉が悪い位で気を悪くしたりなんかしませんから」
「そうそう。 デレクの体格がいいのもスキンヘッドも事実だし。」
にっこりと笑うBAUの面々

「アメリカ連邦捜査局のBAUのチーフのホッチナーです。」
「げ! 連邦捜査局!?」
「俺達は桜の父親の同僚さ。」
「… う…そ!! イケメンのおにーさまと綺麗なおねーさまの集団じゃない!! ジョディ先生も美人だけどその上を行きそう。うわ〜〜」
「園子ってば! 京極さんに云いつけるわよ!」
「だって、真さんてばインドに修行に行くとか行って、もう3週間も連絡ないのよ? 私は毎日メールしてるのに! 酷くない?」
「京極さんならちゃんと帰ってくるよ。インドで優勝したとかって報告持ってね」
「まぁ、信じてるけどさぁ。 ー… はぁ。 どこで何をしてんだか」

溜息を付く園子

「っと! 失礼しました。 私、蘭の友人の、鈴木園子です」
「鈴井財閥の令嬢だよね? FBI資料の中にあったよ」
「え?」
「鈴木の会長がアメリカに来られた時、ご宿泊予定のホテルの近くで殺人事件があったため、万一の事を考えて3日程でしたが警備にあたりました。」
「あ! 私はテスト中で行けなかったけど、パパとママと姉が音楽ホールの落成式に招待された時!?」
「はい。」
「あー…! あの時ね。犯人はホテルの清掃員にバケて逃げ出そうとしてFBIが捕まえったってきいたわ。なら納得できるわ。 で、そのFBIのお兄さまとお姉さま方はどうして日本に?」
「我々は桜の父親でFBIの捜査官の遺体引き取りと、捜査権の申請にきたんです」
「捜査の?」
「桜の父親ー… 白銀捜査官は日本である事件の捜査をしていた。 その彼が殺された。 FBIには世界を旅行中のアメリカ人が凶悪犯罪に巻き込まれた時に専任で捜査をするIRAというチームがあるからな。 今回はそのチームに協力要請をした。」
「そう。この子の父親が殺されたってのはニュースでみたけど… そこまで大事に発展してたの」
「何しろ日本警察が役にたたなくてな。 ジェイムズが自分達でカタを付けるような事を言って、俺達やIRTの介入を渋ってて、ストラウスが頭から角を出した」
「エリンが?」
「そ! 自分の部下が殺されたのにどうして捜査に尻込みするんだって。局長に隠退を進言するとかしないとか」
「エリンは人事に顔が広いの?」
「そりゃもぉ、人事に関しては半端無く容赦しねぇぞ。アイツに逆らって無事だった奴は何人いた?」
「1階級降格処分が31名。 2階級降格移動が15名、1週間程度の停職処分は数知れず」
「わぁー… カワイソー」
「おい、言葉が棒読みになってンぞ」
「でも、ジェイムズもそろそろ本気で隠退を考えた方がいいかもね」
「うん。同感」
「この子は私達の妹だもの。犯人は絶対みつけるわよ」
「でなきゃ… 可哀想、だものっ」

うるるんとなりかけるガルシア

「ありがと」

デレクに抱かれた儘、コテンと首を傾げて見上げればデレクもスペンスも首を垂れる。

「その笑顔は禁止。逆らえない」
「ふふふっ。 ガルシア仕込みだもん」
「さいでした。」

デレクが溜息を吐く。


pipipipipi

とJJの携帯が鳴る。

「はい、JJです。待って下さいー…」

携帯を取り出したJJは軽く頷くと病室を出る

「やーっときたか。そろそろ姫君を家に送り届けなきゃな。 ほいよ、リード」
「OK おいでサラ」
「スペンス。 ね、日本にいる間にチェスできる?」
「勿論。 あと、以前から欲しがってたトリスタンとイゾルテ。アーサーとグィネヴィア。 薔薇の騎士。 ダンテの新曲。 全部初版を持って来たよ。 それからなんでもいいからコナンドイルっていっただろ? どうせなら第1作がいいだろうって思って <J・ハバクック・ジェフソンの遺書>と<緋色の研究>の直筆プレミア本でサイン付を持ってきた。 白馬邸にあるから楽しみにしておいで」
「<J・ハバクック・ジェフソンの遺書>と<緋色の研究>の直筆でサイン付きの保証書付き!? そんなー… よく、手に入ったね? <J・ハバクック・ジェフソンの遺書>は現存する初版は10冊位でサイン付はないって、ー… し、新一兄ちゃんが言ってたよ、それの直筆本って、僕初めて聞いた」
「リードのママは文学者だかんな。 哲学から始まって推理までこれはと思う作家の初版を山っと持ってるんだ」
「コナン・ドイルは別格だよ。母は推理は滅多に読まないけど、コナン・ドイルは最初の何冊か持っている。父がドイルファンだったから興味本位で買ったんだろうね。  欲しいならあげるわって僕にくれたのが小学生の時だった。昔のだからタイピングミスとかもあって、ミス探しが楽しかったよ」
「お前も大概変わってっけど、お前のママも凄いよな」
「そりゃあスペンスのママだもん。」

その言葉に反応しないコナンではない

(見たい! 緋色の研究の直筆本でサイン付! 俺んチにあるのすら第2版でそれも親父が譲って貰ったものだし。 鑑定してホノモンなら親父に頼んで両方合わせて1000千万…いや、保存状態によっちゃ2000万でもいい。 買い取ってもらうのも有りか? しかもJ・ハバクック・ジェフソンの遺書って俺の家にあるは4版だったけどタイピングミスなんて無かったし!  けど、さっきの今で見せてくれってゆーのも……)

ブツブツとつぶやきだすコナンと溜息を吐く哀

(何を考えてるか丸わかりね。 ー… でも、もし白銀さんが彩華なら叙事詩や推理まで読みだすようになったというなら喜ぶべき事だわ。)

「ありがと、スペンス! でも、私にタイピングミス探せるかな?」
「サラならわかるよ。全部書き出してから僕と答え合わせしようか?」
「うん!」
「もう! 二人してウォーリーを探せじゃないんだから、タイピングミスなんて探さないの!」
「まともなのはコナン・ドイル位だと思ったらミス探しかよ? いや、J・ハバクック・ジェフソンの遺書なんてリードに聞くまで知らなかったぞ」
「あのね、江戸川君がいっつもいっつも、遅刻してまで推理小説を読んでいるの。 私は叙事詩の方が好きだけど1回位はいいかなって思ったの」
「はぁーん。 名前の影響ね?」
「みたい。 ね、スペンス! ミス探しよりもトリスタンとイゾルテ読んで!」
「ん。いいよ。 車の中で呼んであげる」
「やった!」
「じゃ、帰ろ? そうそう、JJがね、アリスとライの新しい服を作ったっていってたから、着せ替えできるわよ」
「ホント!?」
「ホントホント。美女と野獣の衣装でね。黄色のドレスと青いスーツ。造花だけどバラの花も作ったわ」
「わぁ…!! アリスとライが喜びそう!」

桜はリードに抱かれたまま、コナンたちの方も向いた。

「それじゃあね。 パパと亜米利加に帰る前に一回学校にいくわ。」
「お引越し、じゃないんだよね?」
「うん。ー… 私には、まだ、やる事が残ってるから」
「やる事?」
「パパを殺した人を捕まえてー… 正体を世界中に公開するの。」
「ー…!」

その言葉にコナンが目を見開く

「当然ですよね! 僕たちに手伝える事があったら、遠慮なく言って下さい!」
「俺達、探偵団の仲間だかんな!」
「うん。そうだよね、歩美は桜ちゃんの味方だもん!だよね、哀ちゃん」
「そうね。 でも、このお兄さんとお姉さんのいう通り、無茶はしないようにね」
「ありがとう。ー… じゃあ、江戸川君、お大事にね。」
「え、あ… うん。」
「来てくれてありがとね、桜ちゃん。コナン君が言った事はー…」
「大丈夫。 あんな言葉で頭にきてたら、FBI捜査官の娘なんて務まらない。」
「そう。」

眉を下げた蘭に向かってにこりと笑顔を見せる。

リードに抱かれてデレクたちに守られるように病室を出ようとした桜は振り返って小さく手を振った
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