Act-03 金剛石の謎
赤井は足音もなく入り口の方に向かうとドアを開けて誰も居ない事を確認する。

「赤井君? そこまで念を押さなくてもこの店なら……」
「ええ…… 分かってます。」

赤井はふっ……と目を細める

「念には念をいれておきたいので」

ポケットから小さな携帯用の目覚ましのようなものを取り出す。

「それは……」
「ジャミングシステムのコンパクトバージョンです。試作開発中のものなので効果は2時間程度ですが、その間の会話は一切拾う事ができません。」
「……其処まで気を遣う内容、という事だね?」
「はい。」
「じゃあ…… 私は席をはずして、2時間位して戻ってきた方がいいかしら?」
「いえ。 もしかしたら……これから有希子さんの力を借りる事ができるかもしれませんのでできればご一緒に」
「わかったわ」

有希子は普段の明るい笑顔を納めて座りなおす。

「いいだろう。 私も、本気で、出来る限りの相談に乗るよ。 ……日本での仕事がらみなら、力を貸せる事もあるだろう。」
「恐縮です。」

赤井は軽く頭を下げると、持ってきていたビジネスバックから鍵付きの箱を取り出して、身に付けてる時計から小さな鍵を取り出して解除すると更に小さな箱が入っており、その箱の錠を解除する。
3回程鍵を解除した後、一回り小ぶりになった箱を優作達の方へ向けて差し出した。


「……随分頑丈にしまい込んでいるようだね」
「どうぞ……」

赤井は声を掛ける。

「いいのかい? そこまで慎重にしまっている中身を拝見しても」
「優作さんなら構いません」

優作は箱を持ち上げると箱を開ける。
箱の中は全面ビロード張になっていて、その台に上にシルクの布で包まれたものがおいてあり、綿のようなものをクッション材で置いてある。

「……見ても良いんだね?」
「はい。」

優作は再度確認し、少し考え、ジャケットの内側から白い手袋を取り出すと、クッション材をテーブルの上に置くと、布で包まれた物を手の平に置いて包みを開ける。


「ー……!!! これは」

優作を包から姿を見せたものに驚きを隠せない。
有希子も覗き込んで息を飲み込んだ。

包の中から姿を見せたものはプラチナの台に輝く黒ダイヤと青ダイヤを合わせて涙型に加工した見事なペンダントトップ。
シャラシャラと流れるプラチナのチェーンのに先に赤い飾り。


「なんて見事な……」
「こんなジュエリー…… みた事ないわ」
「これだけのサイズだ。……買ったら4〜5千万と言いたいが、若干カッティングが荒いようだねだが、飾りに見えるルビーは …… これは」
「これ 赤ダイヤじゃない? まさかこんな大きな原石!?」
「赤ダイヤの方は捨て値で売っても……ハリウッドの一等地にプールテニスコート付きの豪邸を買って、クラシックカーと専用ジェットを買って、執事メイド付きで一生遊んで暮らせる程だな。 会社を建てる事も可能だ。」
「ドロップ型の方も、もう一寸シャープなカッティングをしていればよかったのに、加工士の技術が悪かったみたいね」
「流石ですね」

赤井は苦笑する。

「プロの鑑定士にするとそれは元々同じドロップサイズの黒ダイヤと青ダイヤであり、それを半分にして加工したものだと見解です。……なので半々になっているのと、カッティングのランクで現在価格で4千万程度だそうです。」
「勿体ない事を……」
「……と、いう事はこれの対になるものがどこかにあると?」

優作は丁寧にダイヤを包直すと箱に入れて赤井に返す。

「……恐らく」
「恐らく?」
「御相談というのはこのダイヤの事も関係するのですが……。 頼みたいのはこの片割れを持つ家族、恐らく女性だと思うのですが、万一見つけたら、連絡を頂きたいのです。」
「女性……?」

赤井は一つずつ箱を戻して鍵を掛けるとバックに仕舞い、セキュリティを掛けると、優作と有希子の方を向く。

「このペンダントトップは、先ほどからシェフと会話をしていた桜…… 私の養女である桜を保護した時に身に付けていた子が持っていたものなんです。因みに赤ダイヤは好事家に売ればー…… といっても買える人がいるかどうかは解りませんが、ミサイル搭載の空母を買ってその残りでFー15を何機か買えるとか」

さらっという赤井。


「「……!!」」


赤井の言葉に優作と有希子は言葉を無くして顔を見合わせた。
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