氷壁の姫 Act-09 ロシアンルーレット
「待って下さい! 死ぬなら俺が」

割り込んだのはキャメル

「ぇ?」
「有間さん。 赤井さんの代わりに俺が、死にます。有間さんにとっては関係ない宮野さんさん―… 志保さんのお姉さんである宮野明美さんの事も元はといえば俺がミスったのが原因です。 FBIにとって、赤井さんは必要な捜査官ですが俺は―…」
「キャメル?」
「お、俺は漏らしてはいけない情報を何度も組織にしゃべった脳無しです。 その、赤い煙とかの部屋だろうが冷凍庫に入れられようが、FBIにはどうでもいい存在です。 けど、赤井さんは違う。 赤井さんが居なければ、自分達のユニットの捜査は進みません。」
「止めろ、キャメル。」
「事実です。俺は赤井さんの潜入捜査を失敗させて、ジョディさんに変装したクリス・ヴィンヤード ことヴェルモットに情報を流した。」
「麗しき師弟愛、かしらね……」

巳恩は立ち上がると飾り棚の鍵を回して掌紋認証をして暗証番号をカタカタと入れる。
日本警察が没収品として開けようとしたら電気が走るわ、エラーで警備システムがなりだすわ、挙句に警備システム解除は手打ちで30桁で2分以内とでてくるわで、2分過ぎたら催涙ガスが出てくる程の高度セキュリティ。
特別誂えの強化防弾硝子を空くと、巳恩は装飾を施してるアンティークなリボルバーの銃を取り出した

「ウェスタン映画に出てきそうな素敵なデザインでしょ? こう見えても本物よ? これは私が銃を教えて貰いだした頃に作って貰ったの。 腕力を鍛える為に少し重く作ってあるわ」
「―…重く?」
「もって見る? 今は弾を装填してないから安全よ。」
「見せて貰おう」

赤井は銃を受け取る。

「見事な飾りだな? 飾り装飾とペイントをしてある分、多少は重いだろうとは思ったが45gはオーバーしてるか? いや40か50までのオーバーに思えるが、この仕上がりで50切ってたら博物館に飾れるんじゃないか?」
「ふふっ。 手にもってわかるなんて流石プロだわ。 48gオーバーなの。ちゃんと使えるわよ? 勿論ー…普通より重いから感覚がくるうかもしれないけど」


そして銃をしまってある棚から銃弾を1つ取り出すとシリンダーに入れてをカラカラと回すと机の上に置いた


「アンティークなデザインに相応しく、犯罪者vs正義の味方でロシアンルーレットでもしましょうか。」

「!!」
「さぁ、どうぞ? カーペットのクリーニングは赤井秀一に出して貰うわ」
「あ、貴方、本気、なの?」
「赤井秀一の変わりに死ぬといったのは彼の方。シリンダーを回すも回さないも自由。どちらかがリタイアするまで永遠に、といいたいけど、生憎FBIの顔を長く見ているのは御免だからシリンダーを回すのは此処に居る人数分で、合計4回までとしましょう。 言いだしたのは私だから私は後手で先手でもいいわ。 貴方たちで決めて頂戴」
「ー……っ」
「どうしたの、撃たれるのは平気でも、確率自殺は無理なの? なんならシリンダーを回して構わないわ。 他殺にしろ自殺にしろ、死ぬのは同じよ」
「ぅー……」

テーブルに置かれた銃をみて手を伸ばせないキャメル

「ジョディ・スターリング? 貴方はどう?」
「ぇ…」
「先手でも後手でもいいわ? ゲームに参加する勇気はある? それとも小娘とのゲームは退屈かしら?」
「わ、私、は」
「この世に未練がある人にはできないゲームよね?」

巳恩はクスリと笑うと、迷うことなく己の頭に向ける

「「きゃ!?/ うわ!?」」

ジョディが眼をつぶるのと、カチリ、という音がするのと重なった。

「さぁ? これで残り5回。勝負を続けるのか降りるのか」
「お、俺は ー……」

細かく奮えるキャメルが手を伸ばそうとした時、赤井の腕が伸びて銃を取り上げると迷わずに檄鉄をひいた

カチリ、と乾いた音がする

「此で残り4回だな。回して続けるか?」
「赤井秀一は、その二人より死ぬのが怖くないようね」
「俺は1度死んだ人間だ。それに、こんな奴等でも俺の部下であり、同僚でもあり、ジェイムズのユニットメンバーでもあるからな。」
「そう」

巳恩はクスリと笑うと、迷わずに己の頭に向けると鈍い音をさせた。

「残り3発」
「そうだな」

赤井は黙って少女を見ると顔色1つ変えないで銃を取り上げる。

「あ、赤井しゃん……!」
「シュウ! やめて! シュウの代わリに私が死ぬわ!」

赤井の腕の押さえるキャメルとジョディ。

「やめろ、死ぬぞ」
「死なない確率も有りますよね?」
「弾倉を回転させたら、1/6に為るけど今のままなら死ぬわ。」
「なっ」
「最初に回した時。4発目に弾が出るように回転させたの」
「そっ! そんな事出来るもんですか!」
「だったら見てみなさい。でも、見た段階でFBIの負け。シリンダーを回すだけならゲーム続行」
「5発目に出る可能性だってある筈だ!」

キャメルは赤井から銃を取り上げると弾の位置を見て息を飲む

「ー…… シリンダーを回転させて続けようと思ってたんだが、俺達の負けだな。 日を改めた方がよさそうだ。」
「っ! シュウも解ってたの」
「あぁ。 最初の回転音と、手の感覚でな。」
「ごめんなさい……… また、余計な事を」
「勝敗は兎も角、有間巳恩は未成年。俺が後見人で有るのに変わりはない。」
「負けは負けよ。 私の領域から消えて。 あなた方の顔を見るだけで気分が悪くなる」
「だろうな。」
「アナタ方は狗だもの。 コソコソ嗅ぎまわるのは得意よね。」
「そうかもしれない。 だが、犬には狗なりのプライドもある。」
「そう。 なら、死ぬ覚悟をしていらっしゃい。 法律的執行力のある書類を持ってきたらいつでも安楽死をさせて上げる。 FBIを殺したら犯罪者の世界では英雄だもの。 私は法律上はまだ成人してないから死刑には成らない。」
「云った筈だ。 こいつらはそこまで根性がない。 だが、俺は、お前が望むならいつでも死んでやる。」
「そう。だったら死亡報告をまってるわ。その後、私が検視をしてあげる。 裏切りもののお母様のアンクオン・メモリアルダイヤがあるから、DNA鑑定もできるから安心して頂戴」
「まだ、捨ててなかったのか」
「えぇ。お父様の遺品の中に一つだけ残ってたのよ。裏切りものだけど世間体の為にもっていたと、ジンから聞いたわ。 下らない女に寄らせないため、死んだ妻を今でも愛し続けているという。 あの世に持って帰りたいなら赤井秀一の死が確認できたら一緒に埋めてあげる」
「それも悪くないがルナ姉さんの形見のダイヤは厳兄さんから貰ってる。 幾ら嫌いでも母親は母親だ。一つ位は持っていて欲しい」
「ー… そういえばカフスとタイピンがだれだかの形見だと云ってたわね。 それだったの?」
「まぁ、な。 俺が大好きだった姉さんの形見。 それを貰ったのは俺だけだ、 弟の秀吉も死んだ父さんもメアリー母さんも持ってない。 俺だけの宝物だ」
「そう―… 死んだ お母様は幸せね。従弟とはいえ一人の男からこんなに思われているなんて、あの世で宮野明美が妬いてるんじゃなくて? 私にはお母様を愛せないわ。思い出すら無いのだから」
「それは、仕方ない事だ。 お前は母親の事を知らずに育った。京都の藤代さんたちは兄代わり姉代わりにはなれても母親と父親の変わりは出来ない。」
「認めたくなないけど事実だわね。」

その言葉に赤井は僅かに口角を上げると立ち上がった。
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