クッキングスタジオ 〜紫蘇編〜
「ただいま」
明け方まで逮捕劇に巻き込まれていた赤井が、今日は帰って躰を休めろとジェイムズに言われて家に帰るとテーブルの上には新聞紙の上に大量の紫蘇の葉が鎮座していた。
「―… どうしたんだ、この紫蘇の大群は」
「ん? そりゃあ勿論、青物市場で買ってきたのよ。大人の姿で行ったから心配しないで。」
「大人の姿は兎も角としてだな。 こんなに大量にどうやって食べるんだ… ヴィーは梅干とか漬けた事ないだろう?」
赤井は紫蘇の葉の大群に溜息を付く
「ジュースにするのよ」
「ジュース?」
「紫蘇にはαリノレン酸が含まれていて、体内に吸収されるとイコサペンタエンに酸変化するの。
ポリフェノールの一種であるロズマリン酸も含まれていて糖分と脂肪の消化吸収を妨げるから脂肪が付きにくくなるの。
香りの元となるベリルアルデシドが防腐効果により食中毒を予防してくれるという万能選手よ。
秀一には関係ないけど花粉症にも効果もあるのよ」
「花粉症?」
「そ! 花粉症対策に紫蘇ジュースって知らない?」
「あぁ―… 確かにデパートの健康飲料コーナーでみた事があるな」
「紫蘇にはアレルギー症状を緩和して血液をサラサラにしてくれる効果もあるのよ。」
「健康食品、というのならそれこそ阿笠さんにあげたい所だ」
「あはは! 哀ちゃんがいっつもケーキだめ、お肉駄目って栄養考えているけど全然効果ないものね」
「全くだ。」
「ともあれ、カリウムも入ってるから飲み過ぎない程度に毎日摂取する事で 安眠効果、鎮痛・解熱・貧血予防まで期待できるのよ。
デトックス効果もあるから、スモーカーの秀一には丁度いいんじゃない?」
「ー……」
「ちなみにデパートで買うと紫蘇ジュースって高いのよ。」
「ほぉー…」
「葉を洗うまで終わったから、あとは何回かに分けて鍋に入れて紫蘇のエキスを抽出して鍋に残った葉を捨てて、クエン酸入れて砂糖いれて蜂蜜入れてレモンを入れれば出来上がり。
こんなに山盛りの葉っぱだけどお鍋にいれて茹でてしまえばあっという間に半分以下になってしまうわ。
疲れたでしょうから秀一はお風呂に入ってらっしゃいな」
「大変じゃないのか?」
「大丈夫。秀一がお風呂から出る頃には出来上がっちゃうわ。
そしたらパスタサラダを作るから食べて少し休みなさいな」
「だが、退屈、じゃないのか」
「気にしないで。 案外と人の生活、楽しんでるわ」
「そうか。 なら、遠慮なく風呂に入らせて貰う」
赤井は楽しそうに紫蘇の葉を鍋に入れるシルヴィアを見る
大人の姿で料理をして子供の姿で甘えてきたり。
先日事情聴取に行った被害者の家の今で子供が見ていた、赤いキャンディ青いキャンディで大人になったり子供になったりする某アニメのようだ
と喉の奥で笑う
「と、なるとヴィーはヒロインという事か」
非現実的存在だが、妙に落ち着く存在。
何時までのこの時が続くといい…
赤井はそう思った。
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