present





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「うへぇ〜、なまえちゃんおはよ〜」

『あ、お茶子ちゃん、おはよう』

今日は少し早めに学校に到着しており、席についてスマホを弄っていたらお茶子ちゃんがやってきた。
それも、何でか凄い疲れている。
寝坊して走ってきた…訳ではなさそう。

まだ時間には余裕がある。


『どうしたの?』
「どうしたのって、なまえちゃんあのマスコミ大丈夫だったの?」


何のこと?っと頭を傾げたら、メガネの男の子が近づいてきた。

「オールマイトが雄英の教師に就任したニュースで、校門にマスコミが押し寄せているんだ。生徒が何人か捕まって質問責めにされていてね、俺も先ほどインタビューを受けてきたところだ」


ハキハキと喋る彼は確か、ふくらはぎにエンジンが付いてる飯田くん。
見た目通り、真面目で誠実そうな感じの人だ。


「狐森くんだったよね。申し遅れたが、俺は飯田天哉だ、よろしくな。」


やっぱり真面目だった。


『うん、狐森なまえです。よろしくね。…えっと、それでだけど、私今日は早く登校して来たから多分まだマスコミが来てなかったんだと思う』



だから大丈夫も何もないよ。っとお茶子ちゃんに言う。


「あ、そうなんだ」

『うん。そんなに凄かったの?』

「あぁ、かなりのマスコミ陣だったぞ。俺はオールマイトの凄さを改めて感じたがな」


マスコミに疲れているお茶子ちゃんに対して、何でか飯田くんは誇らしそうな顔をしていた。
なんか飯田くんって、マスコミのインタビュー真面目に答えてそう。



それからお茶子ちゃんと飯田くんと3人で時間になるまでマスコミの話は続いた。
時折他のクラスメイト達もマスコミの話をしている声が聞こえ、あぁ、やっぱり皆も大変だったんだなっと1人思っていた。



..


「今日は君らに…学級委員長を決めてもらう」


「「「 学校っぽいの来たー!!! 」」」



教室にくるなり、相澤先生はそんな事を言った。
当然のようにクラスが騒がしくなる。

みんな、私が!俺が!って挙手しているが、私はその様子を見ているだけだった。


一向に決まりそうにないそれに、飯田くんがある提案をした。


まぁ、良く有りがちな投票制だ。


まだ皆お互いの事を知らないという事で、難しいのではとなったが、だからこそ複数票入った者が相応しいと飯田くんは言った。
皆も何となくそれに納得し、投票制度が採用された。


委員長になりたいって人達は恐らく自分に一票を入れる。

別になりたいと思わない私は誰に入れようか。





適任といえば、まぁ…私的には彼しかいないかな。




..




「いざ委員長をやるとなると務まるか不安だよ……」

そう私の隣で弱音を吐くのは緑谷くん。


「ツトマル」
「大丈夫さ」

前に座るお茶子ちゃんと飯田くんがそう言いながら、自分たちは緑谷くんに投票したと話し出した。


先ほどの委員長決めの結果だけど、緑谷くん3票と百ちゃん2票。
その他の人は皆1票ずつという結果で、委員長は緑谷くんと百ちゃんに決まった。


何でこうなったのか、はっきり覚えてないけど今は4人で食堂に来ている。

ちなみにだけど、今日の私のお昼は助六寿司。
昨日のきつね丼も最高に美味しかったけど、助六寿司の稲荷も最高に美味しい。
やっぱりお昼の時間が最高に幸せを感じる。



「なまえちゃんは誰に入れたの?名前上がってなかったから自分に入れてないよね?」

『ん?んー、私は飯田くんに入れたんだよね』


そう彼に目を向ければ、カッと目を見開いていた。


「あ、あの1票は君だったのか!」

『うん。今朝初めて話したけど、貴方なら務まると思ったの。…でも、2人が緑谷くんに表入れたのも凄いわかる。熱いもんね、緑谷くん』


そう隣の緑谷くんに視線をずらせば、、緑谷くんはそんな事はって恥ずかしそうにモジモジしていた。

…訓練の時に見た彼とは全くの別人に感じるなぁ。




——ヴヴッ


『ん…。』


皆とお喋りに夢中になっていると、机に置いてあったスマホが震え、メッセージが入った事を知らせた。

ご飯中だけど、私はメッセージを送ってきた人物の名前を見てメッセージアプリを開く事にした。


[食堂か?]

短く送られてきた文に、そうだよ、っと返す。
送った直後に既読マークが着いたので、どうやら向こうは画面を開いたままのようだ。

[昨日言ってた飲み物、後でいいか?]

返事はすぐ帰ってきた。


あ、そうだった昨日奢ってもらったお礼に飲み物奢る約束してたんだ。

いいよーっと返そうとしたら、続けてメッセージが来た。

[家に財布忘れてきた]


思わずそれを見て笑みが溢れた。

入力中の文字を全部消して、すぐ戻るねっと返しスマホをポケットに仕舞った。
もうほぼ食べ終わっていたので、残りのご飯をパクパクと頬張った。


『ごめん皆、私先に戻るね!』

「え、なまえちゃん?」


お皿の乗ったお盆を両手に、返却口へ足を向ける。
後ろからお茶子ちゃんの声が聞こえてきたので一度振り返り、片手を上げ後でねっと一言。



『ご馳走様でした〜』

返却口にお盆を置いて、轟くんがいるであろいう教室を目指す。



——けど出来なかった。




ウウー!!!



それは耳を擘くようなサイレン音だった。


「な、何だ!?」
「警報!?」


【セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難して下さい…繰り返します……】


セキュリティ3?
避難って言う事は、危ないって事なんだろうけど、内容は?

何が何だか分からず、思わずその場に立ち尽くす。



『わっ!』

ドンっと後ろから押され、一瞬よろけるが、続けて後ろからブワッと押し寄せた人の波に私は飲み込まれていく。


え、ちょっと本当に何事?


狭い隙間の中、尻尾が挟まれるのは嫌だったので何とか体に巻き付ける。

私の耳は音を拾いやすいから、四方八方から聞こえてくる騒がしい声に頭が痛くなってきた。
耳を畳むが、それでも色んな声が聞こえてくるし、それにプラスして背の小さい私は人に埋れ息が苦しくなり、少しだけパニックになる。




『きゃっ!?』


誰かの足に引っかかた弾みでそのまま倒れそうになる。


こんな所で倒れたら、後ろから来る人達に絶対踏み潰されちゃう。

そんな恐ろしい事を想像し、サッと血の気が引くのを感じる。

でも体はどんどん傾いていく。



—あぁ、もうダメ。




ギュッと目を瞑ると、グイッと凄い勢いで横から腕を引っ張られる。



『えっ!?』



私の腕を掴む手は人の波を器用に縫って、横へと移動していく。
人が多くてどこの誰なのか見えない。

また強く強く引かれると、トンっと壁に背を預ける形となった。


『あ、あの…….っ!?』

パッと顔をあげれば、見知った顔がそこにはあった。
しかも意外な人物すぎて私は思わず目を見開く。



『ば、くごうくん…?』


どうやら私を助けてくれたのは、あの爆豪くんのようだ。
私の両側に手をついて囲うようにしている彼は、異様に距離が近い。

けど彼のすぐ後ろにはまだ人がワラワラとしており、時折爆豪くんに激しくぶつかって行っている。


守ってくれているのだろうか。


爆豪くんは何も言わないし、こちらを見ようとしなかった。

彼とはクラスこそ同じだが、話した事はない。
緑谷くんとバチバチな関係の、気性の荒い男の子というイメージが強いのでこの行動がとても意外だった。


「っ…チッ」

今のはかなり強く押されたのか、爆豪くんは大きな舌打ちを打った。

胸の前で両手をクロスして、体を縮こまらせるが、後ろからの圧が凄いのか爆豪くんとの距離は徐々に近くなる。



「おい、狐女」

『は、はひ!』


突然話しかけられ、思わず変な声が出る。
パッと顔をあげようとしたら、大きな手が額に被せられた。



「ぜってえ、顔上げんじゃねえぞ。あげたらぶっ殺す」

『っ…』

声が出せなかったのでコクコクとうなずく。

そっと額から手は離れたが、私は言われた通り顔は上げず、逆に俯いた。




「皆さん!!だいじょーぶ!!」


その声にピクッと耳が反応する。


「あ?何してんだアイツ」

遠くから聞こえたのは多分飯田くんの声だ。
爆豪くんも気になって声の方を見ているようだが、顔をあげられないので私は声だけで状況を判断する。




「ただのマスコミです!なにもパニックになることはありません!だいじょーぶ!!」



『ぁ、人が…』

飯田くんの言葉が皆に届いたのか、人の波がドンドンと散っていくのが爆豪くんの腕の隙間から見える。


『あの、爆豪く…』


「おーい爆豪!」



もう顔を上げていいか尋ねようとしたら、遠くの方から彼を呼ぶ声が聞こえてきた。
それと同時に私の両側に置かれていた爆豪くんの手は離れていった。

恐る恐る顔をあげるも、彼はすでに私に背を向けていた。


「爆豪大丈夫だったか?って……狐森?」

『あ、えっと……』

駆け寄ってきたのは真っ赤な髪がトレンドマークの切島くん。

私と爆豪くんが一緒にいるのが不思議だったのか、私たちを交互に見てくる。




「なまえ…?」


更にもう1人、こちらに駆け寄ってくる人物がいた。



『轟くん』

「大丈夫だったか?怪我は?」

心配そうな顔つきで私の安否を確認してくる轟くんに、切島くんが驚いた顔をしているのが視界の端に映った。


「おい、行くぞ」
「あ、お、おう (轟って、あぁいう顔するんだな…)」

『あっ…』

爆豪くんはチラッと一瞬こちらを見るが切島くんと2人並んで食堂の出口へ行ってしまった。


爆豪くん…。
後でちゃんとお礼、言わないと。


「なまえ、アイツと何かあったのか?」

『え?あ、うぅん…。爆豪くん、私の事助けてくれたんだけど…お礼、言いそびれちゃって』

「そうか…」


辺りを見渡せば、もうすっかり皆は元の席について昼食の続きをしていた。

改めてさっきの騒動は何だったんだって思う。
飯田くんがマスコミどうのって言ってたけど…。



『あれ、そういえばどうして轟くんココにいるの?』

確か私は轟くんのいる教室に行こうとしていたはずだけど。


「あぁ、食堂って言うから迎えにきたんだ…」

『…え?わざわざ?』

「…あぁ。」



昨日から思っていたけど、轟くんって少し変わってる。
悪い意味じゃないんだけど、なんだろう。

天然?

ちょっと恥ずかしい事をサラッと言ってる気がする。



「なまえ?顔赤えけど、本当に大丈夫か?」

『っだ、大丈夫!!ほら、飲み物買いに行こ、昼休み終わっちゃうよ!』


「?...あぁ。」





投票する人を色々考えたんだけど、飯田くんに入れるのが一番都合いい。笑






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