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>> 爆豪Side

いらいらする。

体育祭の結果は望んだ通り一位だった。

けど、ちげぇ。
俺が望んだのは完膚なきまでのだ。


狐女も舐プ野郎も、結局俺に本気で戦ってねぇ。

狐女に関しては、一瞬本気になったのかと思ったが個性暴走させやがるし、ふざけんなって思った。


けど——...。


あれは綺麗だと思った。


青い炎に囲まれ、9尾姿で立つアイツを綺麗だと。


....俺らしくもねぇ事を思っちまった。



「...ちっ。うぜぇ。」



あの時の眩い景色を思い出し、ぼそりと溢れた独り言は誰に届くわけでもなく、自分自身の眉間の皺を深くするだけだった。




..





——どうして教えてくれなかったの!?



「っ...。」


たどり着いた保健室の扉を開けようと、手をかけた時だった。

保健室のプレートが見えた時から、薄っすら誰かの話し声が聞こえてはいたが、今の張り上げた声は狐女か?



「お前には、まだ言う時じゃないと...」

『じゃぁいつ教えてくれるつもりだったの!?どうして...どうしてよ!!!』

「やめっ、やめろ!!暴れるな!!!」



ガシャンッと何か物が落ちる音が聞こえた。


扉に添えられたまま動かせなくなっていた手をじっと見つめる。

誰と、何を言い争ってやがる?

入るべきか...

めんどくせぇ事に巻き込まれたくはねぇし、待つか?




『離して!!お母さんが自殺した理由は、やっぱり私が原因なんでしょう!?』

「っ!」



ガンッ!


気付けば固まったままの俺の手は、乱暴に目の前の扉を開けていた。

何やってんだ俺は。


そう思う前に、飛び込んできた光景に驚いた。

白衣を着た見知らぬ男が、狐女をベッドに組み敷いて押さえつけていたからだ。



二つの目が一斉に俺へ向いた。


「っ...君は、ばく..うおっ!!」


ズカズカ入り込んで白衣の首根っこを掴み、勢いよく後ろへ投げる。

ゴンっと棚にぶつかった男は、いてて...っと後頭部を押さえていた。


狐女を背に隠すように立ち、ソイツを見下ろすように立てば、後ろからか細い声が聞こえてきた。


『ばく...ご..くん。』


チラッと後ろへ目をやれば、デケェ目に今にも溢れそうな涙が溜まっていた。

そしてその口が続けて言葉を紡いだ。



助けて。



「っ....。」


あまりに小さく、蚊の鳴くような声だったが確かにそう聞こえてきた。

何をどう助けて欲しいのか、そんな事しらねぇし興味もねぇけど、気付けば俺は狐女の腕を引いて保健室を飛び出した。




「っ..待て!なまえ!!!」



後ろから俺達を静止する声が聞こえたが、お構いなしに走った。



このまま下駄箱まで向かうか。

そんな事を考えていれば、後ろから鼻を啜る音が聞こえてきた。

見なくてもなんとなく察してしまい、また息をするように舌打ちが溢れた。



クソが。










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