present



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>影山Side

「凪、手...繋いでもいいか?」


帰り道。

今の今までどちらとも口を開かず、ただ隣に並んで進んできた。
先ほどから凪は顔を赤くしたり真顔になったり、何やら1人で表情が忙しかった。


凪は突然の俺の言葉に驚いたのかピタリと立ち止まった。

実は付き合ってた時は気付かなかったが、凪は凄く恥ずかしがり屋だ。

すぐ顔を赤くする。


それに、何がタチ悪いって...その顔があまりにも可愛すぎるんだよな。


なんていうか、、いじめたくなる、そんな顔をする。
つい、もっと赤くなってしまえばいいのにって思っちまう。


だから俺は凪の返答を待たずに、その小さくて白い手を握った。



ほらな。
やっぱりもっと顔が赤くなった。


くいっと手を引いて歩みを再開すれば、大人しく俺の手に引かれ凪は歩いた。

俺は少し手を緩め、自分の指を凪の指の間に絡め、その手を握り直した。


「か、かかかげ、やまっ...」


後ろに手を引かれ、反射的に振り返れば先ほどより真っ赤な顔をした凪がいた。
その目は少し潤んでいて、いじめすぎたか。と思ってしまった。


「こ、これは、流石に...」


そう言いながらも俺と手を離そうとしない凪。

俺はすっと目を細める。


あぁ、本当に...。

最近凪への気持ちが溢れすぎているのが自分でも分かる。
恋人じゃ無いんだ、何処までやっていいかは俺だって理解している。



「なんで影山は、平気そうなのよ」

「...平気そうに見えるか?」


そう凪と目線を合わせて顔を合わせる。

俺だって照れたり恥ずかしがったりするわけで、今この状況はすげぇ恥ずかしい。

凪までいかないが、それなりに顔だって赤くなる。



そっと空いた手で凪の髪を撫でる。


くすぐったそうに少し身を捩る凪を見て、不味いなと思う。



このままだと俺はまた昨日みたいにセーブができねえかもしれねえ...。







>凪Side

目の前の彼の顔はとっても意地悪な笑みを浮かべて、でも暗い夜道で分かるくらいには顔が赤かった。

私の手を握る手はすごく熱くて、もう反対の手は優しく私の髪を撫でる。



最近こんなのばっかりだ。

2人になるとすぐ甘い空気が流れる。


バレーの事で悩んでいるのに、同じくらい最近これが悩みだ。


影山から溢れんばかりの好きって気持ちをぶつけられるのは嫌では無い。


でも今の私は恋愛する気が全然ないのに、こんなに色々されたら気持ちはどうしても揺らぐ。

その度に私だって女子高生で、そういうのに憧れる年頃なのだと思い知らされる。


中学の時に告白されたあの時は、確かに...私は彼が好きだった...と思う。

だって、今まで色んな告白を受けてきたけど誰よりも何よりも嬉しくて舞い上がったのを覚えている。



でも今は.....。



「私、影山が好きか、分からな..いっ…」

「...その顔で、よく言えるな。」

「っ...こ、これは...反射的というか...誰でも、こうなるってばっ。」

「...なら、今はそれでいい。別に俺は焦ってねえからな。」


そう言いながら彼は髪を撫でていた手を後頭部へ回した。
それとほぼ同時に近づいてくる顔に、私は驚いてぎゅっと目を瞑った。




また、キス、、、っ




そう思っていると、チュッと優しいリップ音が静かな住宅街に響いた。
私は思いがけない場所への感触に、閉じていた目を開く。


ちょうど目の前にあった彼の顔が私から遠ざかった。


「口にはしねぇ。約束だからな。」


帰るぞっと手を引く彼。

私は歩きながら、先ほど柔らかい感触が当たった右頬へそっと手を当てた。





熱い...。




あぁ、もう本当に、一周回って悩ましいことが多いせいで頭が痛くなってきた。









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