「じゃぁ..今日も送ってくれてありがとう。」
そう言って手を離そうとすると、影山はギュッと手を握ってきた。
まるで離したくないって言っているようだ。
「明日も、バレー部来いよ。」
「...ぷっ..明日は土曜日だよ。」
思わず真剣な顔で言う影山に吹き出してしまった。
そう言えばそうだった..っと残念そうな顔をする彼は、本当にバレーバカだなぁと思う。
「...ちなみに明日は、なんか予定「おい」」
突然横からの声にびっくりして2人で同時に顔を向ける。
「え...はじめ、くん?」
そう言い終わった後に、私はハッとしててを影山と繋がっていた手を離した。
「岩泉さん、なんでここに?」
「あ?...関係ねぇだろ。むしろなんで影山が凪と一緒にいるんだよ。」
「ぇ、えっと...一くん...」
なんでかすごい喧嘩腰の一くんに私は動揺を隠せなかった。
影山もすごい剣幕で睨み返してるし...。
私は今にも殴り合うんじゃ無いかって勢いの2人の間に挟まれ戸惑うしか無かった。
そんな時、例の間延びした声が聞こえてきた。
「ちょっと岩ちゃん、どーどー!飛雄ちゃんも、そんな顔しないで!」
「っ及川さんまで何で...」
「なんでって、そりゃぁココ、うちだし。」
そう指差す場所は確かにOikawaの表札で、私の家でもある場所。
影山はあぁそうか。という顔で私を見た。
いや、見られても困るけど...。
「...ところで飛雄ちゃん。いい機会だ、前に聞こうと思ってたけど....凪と付き合ってるのかな?」
私はその顔にゾクっとした。
全く目が笑っていない。
寧ろこれは怒ってる顔だ。
「...まだ、付き合って無いっす。」
んんんん???
影山の含みある言葉に場の空気が重くなった。
「ほぉー、“まだ”ねぇ。」
一くんも何でか眉間にシワがギュッと寄って怖い顔をしていた。
最悪すぎる。
これなんて言うの、修羅場..?
「〜〜っ皆、やめよ、ね!影山、送ってくれてありがと!!」
場の空気に耐えられず、影山の背中を着た道の方へグイグイ押す。
「また月曜日ね!!」
「っ明日、どっか「入るぞ凪」っ...」
影山が何か言いかけていたが、私はグイッと一くんに肩を引かれて最後までその言葉を聞くことがなかった。
.
バタンッと激しく玄関ドアがしまれば、先に靴を脱いでいた彼ら2人に私は見下ろされる。
ただでさえ2人とも身長が大きいというのに、玄関の段差で更に大きくって思わず私は縮こまる。
「凪、本当に飛雄ちゃんと付き合ってないの?」
「っ...お、お兄ちゃっ..には..関係ないでしょ。」
プイッとそっぽを向く。
影山がいなくなったのに空気はまだまだ重たい。
チラッと視線を送れば、ぬっと一君の手が伸びてきた。
ムニっ
「っ...」
両頬を鷲掴みされ、無理やり正面に顔を向けられる。
「本当に、付き合ってないんだな?」
真剣なその瞳の奥にあるメラメラとしたものに、私は頷くしかなかった。
一君は小さく息を漏らし、私の頬を解放する。
「おいクソ及川。一旦家に着替えとか取りに行ってくるから、飯の用意頼んだぞ。」
「はいはーい....て、凪も連れて行くの!?」
一君は重たそうなエナメルを玄関に置くと、再度靴を履き始めた。
かと思えば、私の肩からも鞄を取り、それも玄関に置くと手を取られそのまま外に連れ出された。
全く何がどうなってるのか理解が追いつかない。