02

「あなたね、そうやってセクハラするのやめてくれない?!今度やったら槍で串刺しにするわよ!!」
「ごめんってフリアイ〜。俺、反省してるからさ〜」
「反省しているわりにはあなたさっきから女性しか見ていないでしょう」
フリアイとパーティーを組むことが決まってから、アラン達は適当な席に座り今後の作戦を立てることにした。
アランもフリアイも黒騎士の実力を知らない。二人とも実際に黒騎士と戦ったわけではない。

「ごめんなさいわざとじゃないの許して……!!」
その時、近くの席で女の子の声が聞こえた。
振り向くと、男三人に10代の女の子と老人がいかにもな顔をした怖いお兄ちゃん数人に囲まれていた。

「子供がやったことじゃ、どうか許してくだされ」
老人が男どもに媚びるが彼らはそれをに耳を貸しはしなかった。
「うるせぇ!!ジジイは黙ってろ!!」
よほど虫の居所が悪かったのか、男の一人が老人を殴る。

「お爺ちゃん……!!」
少女が老人に駆け寄る。

「あの男達は」
彼らはそこそこ悪名高いやつらなのか、セントシュタインに来たばかりのアランにフリアイが男達について説明してくれた。
「この辺りで勢力を増しているチンピラ集団よ。絡まれたら最後、顔の形が変形するまで暴力をふるわれるわ。見たところ、チンピラたちのリーダーに女の子がぶつかったか何かで酒が零れて服がぬれちゃったのね」
この場にいる者で少女らを助けようとする人間はいなかった。誰もが自分を可愛がって面倒ごとには首を突っ込まないようにしているのだ。

少女が涙声で老人にべホイミをかけた。あの年でべホイミが使えるのはなかなかの才能だ。

「お願い、ぶつかったのは私です。お爺ちゃんは何もしてないです。だからお爺ちゃんに乱暴しないで!!」
少女が老人を庇うように前にでる。老人は立ち上がり少女の頭をなでた。

「この子がわしの元を離れないように見ていなかったわしに非があるんじゃ。アデリーヌは悪くはない。どうかこの子には手を出さないでおくれ、わしの可愛い可愛い一人孫なんじゃ」
「うるせぇお前ら同罪だよ!!俺たちは今虫の居所が悪いんだ!!」
アランはもう見ていられなかった。アランは少女らと男達の間に割り込み、男達に向けて弱くバギを放った。

「もうその辺にしとけよ。こんな小さな女の子と爺さん相手にかっこわるいぜ?」
どうしよう。思わず飛び出したが、ろくに戦えない自分がこんなチンピラ相手にどう立ち向かうのだ。流石に人間相手に呪文は使えない。

チンピラの怒りの矛先が完全にアランへと向かい、彼らは一斉にアランに殴り掛かった。
ああ、これじゃハーレム計画が台無しだ。アランは思わず目をつぶった。


「あれ、痛くない……?」
なかなか痛みを感じないことに疑問を抱いたアランは恐る恐る目を開く。見ればフリアイがチンピラ集団を倒していた。

「もう、全く情けない男ね……」


酒場にて2
(パーティー結成まであと少し)

Honey au Lait