今日も追うのはあなたの姿 司くんはとても人懐っこい子みたい。学内で私を見つけると、とても嬉しそうな笑顔を見せて駆け寄ってきてくれる。私もその笑顔につられて気の緩んだ顔を見せてしまう。いけない、先輩なんだからちゃんとしなきゃ。思わず自分の顔を引っ張ると、「お姉様、どうかされましたか?」と顔を覗き込まれた。後輩と言えども私より身長が高い司くんは、少し屈むようにして私を覗き込んでくる。司くんと関わって気づいたのだけど、彼は少しだけパーソナルスペースが狭い。思わず顔を逸らして「なんでもないよ!」と笑うと、「それなら良いのですけど」と少しだけ眉尻を下げて笑った。ああごめんね、そんな顔させちゃって…!!移動教室の途中だったらしい司くんは、「それではまた!」と大きく手を振って私の元から少し小走りで教室に向かった。私はそれを見送って教室に戻る。 「戻ってくるのが遅かったな、何かあったか?」 「ちょっと後輩と話してて」 教室に戻ると北斗くんが心配して声を掛けてくれた。その言葉で私が帰ってきたのを察知したのか、スバルくんと真くんも顔を覗かせる。その輪の中に一緒にいたあんずちゃんもどうしたのだろうとこちらを見てきた。彼らは今回あの皇帝相手に勝利を収め、学院の革命児となった。一緒に活躍したあんずちゃんも勝利の女神として話題となり、ハッピーエンドを迎えた。私もその瞬間を一緒に立ち会い、難なく進んだDDDの結末に嬉しくて涙した。今は平穏を迎え少しばかりの休息を迎えている。DDDにはもう心残りはないなあ、気になると言ったら朱桜司くんのことくらい。DDDの一件でKnightsの、と言っても瀬名先輩の不祥事について。その計画は司くん自身には教えられていなかった。どうやらKnightsの中でも末っ子的存在の彼は、まだKnightsに馴染み切れてはいないみたい。 先生が来たから席に着く。この先生の授業も数百回目。真面目に何回も受けていると流石に話す事もやる事も覚えてしまっていた。反復練習って素晴らしいなあ、なんてちょっと前の時は感動していたけれど。今回から2、30回前くらいにテストで全教科満点を取ってしまった時は流石に焦ってしまった。転校生だったし、そこそこ偏差値の高い夢ノ咲で全教科満点を獲得したなんてやばい奴なんじゃないかと噂された。転校前のテストは平均しか取れてなかったからやばい奴でもなんでもないんだけど。自分の席は窓際の後ろ、先生の言葉を受け流しつつ外の様子を眺めた。外では3年生が体育をしているらしく楽しそうな声が聞こえた。少し暑い今日に長袖のジャージを着ている人を見つける。瀬名先輩だ。瀬名先輩は、守沢先輩に絡まれてのし掛かった腕を鬱陶しそうに振り払っていた。いつもユニット内でリーダーとして動く瀬名先輩しか見れないから、こうやってクラスメイトと話してる姿は新鮮で大好きだ。ここから見れる瀬名先輩の姿はいつになっても飽きない。鬱陶しそうに怒ったりするのに、暫くしたら楽しそうに笑ってる。男子高校生らしい笑顔は、私にとってある種栄養源とでも言えてしまう。本当、飽きないなあ。さあっ、と風が窓から吹きつけてくる。突然来た風に髪が靡き、少し乱れた。乱れた髪を整えていると、先生が私の名前を呼んだ。問題を解いてくれ、って言われるんだよね。慣れたように立ち上がり、黒板に書かれた問題に何度も書いたことのある回答を書き記した。正解だと褒められるので、「やったー!」とオーバーに喜んで席に戻る。 「なまえさすがだね!」 「まあねっ」 前の席に座っているスバルくんが、振り向いて私を褒める。もちろんだよ、だってこの問題も何百回目。さすがに間違えない。心の中で自嘲気味に思いながらも、褒め言葉に嬉しく笑う。スバルくんは「次のテストはよろしくね!」なんて輝かしい笑顔で言ってくるから、「さすがにそれは自分でやりなよ」と苦笑する。外を見ると、瀬名先輩が守沢先輩を正座させて怒っている姿が見えた。 3/4 top |