好奇心もたまには幸せをもたらす04

「そうなのですね。お話には伺っておりますわ。なんでも、鬼灯さまがお目をかけているとか」

後半の台詞のトーンが何段階か下がった気がする。隣も青ざめていて、今回は俺の気のせいじゃなさそうだった。
それでも笑顔は崩さないスタイルに思わず拍手をしそうになる。

「天鼠さん」
「まあ、冗談でしてよ。伊邪那美さまの侍女の天鼠と申します。どうぞ仲良くしてね」

先程のとは打って変わり、花の咲いたような可愛らしい笑顔で差し出された手を握った。小さいな。よく見れば異常なまでに白い肌に細い腕、もしかしたら病気を患っているのかもしれない。
それならば鬼灯さまが外に出したいと言った理由も理解出来る。

「ふふ、唐瓜くんは考えていることが顔に出るタイプですわね」
「えっ」
「少しだけ身体が弱いのです。けれど人並みには働けます」
「これでも書類捌きは目を見張るものですよ」