嫉妬の炎は熱い01

「ああ、唐瓜さん茄子さん。ここにいたんですね」
「こんにちは鬼灯さま。どうかしたんですか?」
「天鼠さんの散歩に。お二人も同伴しますか?」

嬉しいお誘いに俺たちは二つ返事で了承し、天鼠さまと手を繋ぎながら歩く。鬼灯さまが怒るかもしれないと気が乗らなかったが、母親のように慕う茄子を微笑ましく思っているように、俺にも惜しみなく愛情を注いでくれる天鼠さまの申し出を断れはしなかった。鬼灯さまも何も言わなかった。

「こうしてみると、まるで家族のようですわね」

その一言に俺は救われ、茄子は大喜びしたわけだが、鬼灯さまはこれもまた何も言わなかった。
不思議に思った俺の耳に顔を近付け、天鼠さまはこう言った。

「照れていらっしゃるのです」

なるほど血も涙もないと言われる鬼も照れることがあるらしい。