嫉妬の炎は熱い02
ここまでだと面倒くさいと伊邪那美さまが言った原因はわからない。
本題はこれからだった。
少し遠出をしようと言い出したのは鬼灯さまだった。
お香さんとの用事を済ませ談笑を楽しみ、さあ帰ろうとなった時。天鼠さまはどこにもいなかった。
「ど、どうしよう鬼灯さま」
「落ち着きなさい。こういう時は必ず足跡を残しているはずです」
天鼠さまが御殿から一人で出ることはない。桃源郷へ行く時も散歩に出る時も誰かと一緒で、片時も離れることはなかった。それは外に慣れていない弱い身体を労ってのことだったが、今回ははぐれたとは言いにくく。
自らの意思で移動したのだろうと考えるのが妥当であった。
「裏道を歩きましょう。少々危ない道ですが可能性は高い」
「前にもこんなことが?」
「ええ、何度か。身体が弱い分頭も弱くて困ります」