「なまえ、今日仕事終わったら部屋来るか?」
「ん、ああ。ユーリがいいなら行くわ」
「じゃ、仕事終わったら来いよ、食いモンあるから」
「マジか、じゃあ俺もなんか持ってく」
「ん。じゃーな」
「おー」

「…………はあ」
店が混み出す前にしたユーリとのやり取りを思い出して、思わずため息が出た。

ユーリに「好きだ」とは告白されたけど、何時ものように俺の仕事終わりにユーリの部屋でてきとーに駄弁ることは続いていた。大抵はユーリが俺を誘う。俺もたまに誘うことはあるけれど。そしてそれは今日もで。
告白されても俺の中でユーリは友人ということには変わりない。告白されてから俺を見る目がなんとなく前とは違うことには薄々気付いたが、俺は気づかない振りをした。どういう反応をすればいいのか分からなかったからだ。下手したらユーリのことを傷つけてしまうかもしれないから。それだけは避けたかった。だから、あいつ的には不満なのだろうけど、俺的には友人というポジションを変えずに続けているつもりだ。でも意識してしまっているからか、最近はそれが難しい気がする。

「(ユーリの部屋に行って駄弁るのはいいんだが、入るまでがなあ…)」

ユーリと話すことは楽しい。が、あいつに告白された今、あいつに会うのに少し抵抗ができてしまった気がする。話し始めれば別にどうってことないのだが、ユーリの行動にいちいち反応してしまう。

「(心臓に悪い…)」

告白してからユーリは積極的だ。けれどそれは言葉だけで、行動にはあまり出てない、気がする。………待てよ、ユーリの言葉だけでもう既に割とドキドキしてる俺ってヤバいんじゃないか?行動に出されたら俺どうすればいいんだ?

「……それもこれも、あいつが美人なのがいけないよなあ」
「何言ってんだお前」
「わああびっくりした驚かすなよ!」
「お前がいつまでたってもドアの前に突っ立って部屋に入ってこねえからだろ。ほら、入れよ」

ケーキ作った、なんてユーリが言うから、俺は無言で部屋に入りました。甘いものに絆された。