俺が散々ボロ泣きして落ち着いた後。とりあえずはカルデアの施設を紹介しようということになり、ドクターとダ・ヴィンチちゃん、そしてマシュに説明兼案内をされることになったのだが(ちなみに王様は後は頼んだと部屋に戻った)。
「無理無理無理無理無理ですやだ、むり、だめ」
現在俺は足を踏ん張ってドクターに引っ張られて食堂に入るのをめちゃくちゃ拒んでいる。何故なら1番最初に紹介されたこの施設についてドクターが「いつも誰かしらここにいるんだけど、ちょうどいい時間だからサーヴァントの皆も結構いると思うよ。彼らとご対面だね」なんて素敵な笑顔で言うからだ。
「何言ってるんだよなまえ君、君が手塩にかけて育ててきたサーヴァントだろ?会いたくないのかい?」
「めちゃくちゃ会いたいですよそりゃあ!!会って話したいし触りたいですよ!!でも怖いんだもん!!推しには会いたいけど会いたくないこの気持ち分かりますドクター?!」
「う、うんなんとなく分かってしまうのが辛いところだけど!」
「感極まって俺多分泣く!いや絶対泣く!」
「いやもう泣いてるよ?!ああもう往生際が悪いぞなまえ君!」
食堂の入り口でそんな茶番を繰り広げている俺たちを若干苦笑いで見つめるマシュ、そして一方でにこにこと見つめていたダ・ヴィンチがそういえば、と口を開いた。
「なまえ君、ギルガメッシュ王の時はなんで平気だったんだい?君彼のこと大好きだろ?」
「なぜそれを!!?」
確かにギルガメッシュはまごうことなき俺の一番の推しですけれども!
「何言ってるのさ、普段あれだけ好き好き言っておいて。ねえマシュ」
「はい、毎日のように言ってましたよ」
「ン"っですよね!」
友人の前でうるさいくらいギルガメッシュが推しですって公言してたし?やっぱり俺は俺だったってことですよね!しかし本人がいるのに公言しているとは恥ずかしいな!
「確かに王様のことは大好きだけど、っあの時は状況が意味分からなすぎてテンパっててそれどころじゃなかったというか…だから俺今王様のこと見たらいや待って尊すぎて見れない、絶対見れないです見たら泣くし他の鯖見てももれなく泣くんで無理ですだから食堂には入れません!!」
「うんそうだね、君のサーヴァントに対する熱い思いは分かったけどどっちにしろ彼らと会わないと話は進まないんだから諦めて泣いてこようなまえ君!はいどーん!」
「うわあ?!」
つらつらと言い訳を並べていたら次の瞬間非情なダ・ヴィンチちゃんにどんっと強く背中を押され部屋に入れられてしまった。そしてよろけて転びかけた俺を抱きとめてくれたのは、
「っと、おい、…大丈夫か?マスター」
「…………あ、ぁ、」
今度はキャスニキじゃなくて槍ニキだった。
「マスター?……なまえ?」
俺の名前を呼ぶ槍ニキ、もといランサーのクー・フーリンに返事が返せない。とりあえず何か、何か言わなければ……。
「だ、」
「だ?」
「だめ…」
ぶわっという効果音を付けるのが正しいだろう。色々な感動で勢いよく涙が零れる中、わなわなと唇を震わせて言えた言葉は、その二文字だけだった。そして、しばらくの間リアル鯖に慣れない俺であった。
「むり……まじむり…イケメンむり…」
「おいマスター大丈夫かよ、おーいしっかりしろ」
「荒療治が必要だと思ったんだけど、あれはダメかな〜…」
「ちょっとずつ慣らしていこうか…」
20170522