続きもの
どうもみなさんこんにちは、みょうじなまえです。
今俺は体育館のギャラリーのはしっこにいる。そう、バスケ部の練習を見にきているのだ。
バスケ部の練習を見にきてる奴は大体が女子で、あちこちから黄色い声が飛んでいる。
「(うるせ…猿か)」
人の多いところは苦手だが、しょうがない。氷室に練習見に行くって約束したからな。
ついつい目線が氷室の方に行ってしまう。さすが本場でやってたというだけあって動きがすごい。いや、他の部員の動きも相当すごいと思うのだが、氷室はすごいに加えて綺麗だ。特にシュートする時は流れるようで、目を奪われる。素人の俺でもそういう風に感じるのだから、やってる奴らからしたら恐ろしいだろうな。
「あれ、みょうじじゃん。」
そのままなんとなくバスケ部の練習を見ていたら、よ、とクラスメイトの友人に肩を叩かれた。
「珍しいな、お前が体育館にいるなんて」
「あー、バスケ部の練習見に来てんだ。お前は?」
「俺もバスケ部。つーか福井センパイ待ってんの」
「福井先輩?」
「ほら、あの金髪の人だよ。バスケ部の副キャプテン」
「ふーん…怖そうだな」
コートで檄を飛ばしている金髪頭を見ながら、なんとなくそう思った。
「怖くねえよ、むしろちょうかわいい」
「え」
にやにやした顔で友人がそんなこと言うので、少しビビった。
「あっ…」
しまったという顔をして、友人がワザとらしく咳払いをする。
「そ、そういうお前はあれだろ、氷室待ちだろ?」
「っはあ?なんで」
こいつ話題をすり替えやがった。
「なんでってそりゃあ、お前と氷室付き合ってんじゃねえの?」
「…はあ?!」
あれ、違うのか、と友人がきょとんとした顔で返してきた。
「なんで俺と氷室が付き合ってんだよ」
「だってお前ら、最近いつにも増して一緒にいる頻度高いし、それにお前と話してる時の氷室回りに花舞って見えるほど幸せそうだし。だから付き合ってんじゃないかとクラスの奴みんな思ってるぞ」
「…ま、まじか……」
思わず頭を抱えそうになった。
『…好きだ』
顔真っ赤の上に涙目のイケメンにそんなこと言われたら、誰だってどきどきしてしまうだろう。さながら少女漫画の主人公のように。キスされたあとなら尚更だ。ファーストキスを男に奪われてしまったとか、そんなことを考える余裕すらなかった。
『え、と、…ありがとう…』
とりあえずその言葉を口に出すだけで何秒かかったか分からない。
そして俺は、
『よ、よろしくお願いします』
と言ってしまったわけで。
まあ、要するにだ。
俺と氷室は、付き合っている。
付き合い始めてまだ一週間も経ってないが。
「(さすがに正直に付き合ってますと言うわけにもいかないしなあ…氷室が気にするかもしれねえし、ていうか逆にクラスの奴らおかしいだろ…クラス公認みたいじゃねえか)」
まあ帰国子女だから、そういうことは割と気にしないような気もするがとりあえず黙っておくことにした。
それに、氷室には悪いけど、俺が全く気にしていないといったら嘘になる、し
「で?結局のところどうなんだよ」
「…。付き合ってねーよ。仲良いだけ」
「ふーん…?」
「………」
じとお、とした目で友人が見つめてくる。うわ、すっげー怪しまれてるんでけど…!
「そ、っそういうお前はどうなんだよ!お前さっき福井先輩のことニヤニヤしながらちょうかわいいとか言ってたじゃねえか!もしかしてお前福井先輩と付き合っぶふっ」
なんとか話題をすり替えようとしたら、友人に思い切り口を塞がれた。
「ふぐ、」
「…っばか、あんまデカイ声でそういうこと言うな…!」
「、………」
友人の顔が真っ赤である。
…もしやこいつ
俺の口を塞いでいる友人の手を退けて、恐る恐る聞いてみる。
「お前….福井先輩と付き合ってんの?」
「……」
どうやら図星だったようだ。