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ちょっとどんくさい子と灰谷弟の話。同い年かちょっと年上の主が書きたかった


▽くっついた頃の話

「よう」
「あ、灰谷く、ん…………」

寝ようと思っていたところに突然竜胆から着信が来てなんだと思ったら「今来れるか? 下にいる」と言われて慌てて階段を駆け降りる。降りていったらマジで竜胆がいたしなんなら初めて見た特攻服姿+顔面切傷あざだらけでビビりすぎてハワ……(絶句)となるなまえ。尚怪我を負っている本人はこのくらい全然大したことないと思っているので、怪我の具合にテンパるなまえを見ておもしれーな……と思っている。

「悪ィ、家まで押しかけて」
「いや、それは全然……なんかあった?」
「別に、どうしてっかなと思って」

ケンカの途中なまえのことが気になり出したら止まらなくなり我慢できずに会いに来たとは言わない。ついでにできた傷がなまえのことに気を取られすぎて避けられずに殴られた時のやつだとも絶対に言わない(蘭には笑われた)。
怪我の手当をしつつ(家を往復して救急箱を持ってきた)ちょろちょろと話をしていたのだが、竜胆が途中から黙ったと思ったら徐に「オレのこと呼んでみて」とか言い出したので呼んでみる。

「灰谷くん」
「………嫌だ」
「い、いやだ?」

嫌だって何が嫌だ? と頭に?マークを飛ばすなまえ。もしかして自分なんかヤバいこと言った? と若干焦る。

「名字呼び、やめろよ」
「……竜胆くん」
「よし」

が、竜胆の言葉にそういうことかと納得して、名字ではなく名前を呼んでみると満足げに頷く灰谷弟。名字呼びは灰谷兄も含まれてしまうので嫌なのであった。
そうしてまたぽつぽつ話し始める。名前を呼ぶの小っ恥ずかしいな〜と思いながらも会話を続けていたなまえに対して、竜胆はといえば「竜胆くん」と呼ばれるのがあまりにもむずむずした気持ちになるしなんならムラッとくるしで「うん」とか「おう」とか素っ気ない返事しかできない。そして手当てが終わる頃にはとうとう我慢ができなくなって、頬から離れそうになったなまえの手をするりと掴む。

「なあ、キスしていいか」
「え、…………」

すっごい唐突だな! と思いつつ、嫌ではないので人気を気にしつつも頷く。別にいちいちお伺いを立てなくてもいいのに、自分のことを気にしてくれるところがやっぱり優しいなと思いつつ、顔を寄せてきた竜胆からのキスを受け入れる。
竜胆の腕に添えていた手が、白手袋をした彼の手に取られる。キスは初めてではないけれど、やはり緊張は抜けない。体を硬くするなまえの腰に竜胆のもう片方の手が回って、お互いが密着する。
触れるだけのキスと、時折混ぜ合わされる唇を食まれるキスが気持ちよくてうっとりするなまえに竜胆はますます煽られるのだが、今はまだ我慢だと触れるだけのキスをひとつして唇を離す。
が、今度はなまえから唇を塞がれて同じようなキスをされるものだから今度は竜胆の方が体を硬くする。思ってもみなかったなまえからのキスに吐息が小さく漏れて、それがなまえにとってはどうしようもなく扇情的で、体がぞくぞくしてしまう。
けれど息が先に切れたのはなまえの方で、口が離れるとはあ、と大きく息を吐く。紅潮した頬が電灯の光に照らされて、潤んだ瞳が竜胆を見つめる。名残惜しいようなその表情に後ろ髪を引かれつつも、おしまいにと触れるだけのキスを二、三度落とす竜胆に、なまえが小さく声を漏らす。

「う、ン、はいたにく、」
「戻ってンぞ」
「あ、竜胆くん…ごめん…」

怒られてしんなりするなまえ。弱気な奴だなあと思いつつ、名字呼びを指摘するとしゅんとするなまえがかわいいので、しばらく間違えて「灰谷くん」呼びされるのもいいかもしれないと思った竜胆であった(ちゃんと訂正はさせる)(完全に参っている)。





主:とあるアパレルショップの学生バイト。灰谷ズが服をよく買いに来るし接客もしたこともある。彼らのことは怖いと思いつつもおしゃれだしさりげなく優しいなとは思っている。実は学校も同じなのだが、学内では話しかけられなかった。ブイブイ言わせててこわいので……

竜胆:よく行く店の店員だとは認識してはいたが、学内では認識すらしていなかった。どんくせーやつとか思ってたし全然タイプじゃないのにあっという間にひきずりこまれて通り雨みたいな恋心がやってきてやられました

蘭には秘密にする。バレたら絶対にめんどくさいことになるしなまえにちょっかい出すので。でも結局バレる。