害が無さそうってよく言われる


仕事から帰ってきて、私がまずする事と言えば。
何故か玄関に脱ぎ捨てられているパンツを拾い、寝室までの道のりに落ちてる靴下を拾い。
イライラしつつそれを洗濯機にぶち込む事だ。

一人暮らしをするよりも面倒なんだけど!?
大体なんで玄関にパンツ落ちてんのよ、どこで脱いでんのよ。
苛立ちながらリビングに入ると、ソファでバカみたいに口を開けて寝ているバカを発見する。

金髪の髪が下に垂れている。何故かそれを見て美味しそうって思った。
私も疲れてるかもしれない。

靴下を口に入れてやろうかと思ったけど、寝ている目の隈が凄まじい事になっていたので止めた。
起こさないように寝室へ着替えに行って、部屋着になって戻ってくる。
一ミリも動かないで寝ている奴に近付いて、タオルケットを掛けてあげた。



「ホント、感謝して欲しいわ」



帰りに寄ってきたスーパーの袋から、今晩の晩御飯になるパスタを取り出し、台所へ向かった。
ソファでぐーすーかぴーしている奴は、一応この春から一緒に暮らし始めた私の彼氏、我妻善逸である。
付き合いはそこそこ長い。
夜勤のある不規則な生活を送っている奴を見ていたら、奴の身体が心配になって私から提案した同棲生活。

早くも3か月程度経とうとしているが、家の中でもすれ違いの生活だったりする。

それでも近くにいるだけで良いんだけどね。
これは奴には言わない。


美味しそうなミートソースが出来上がったところで、私はテーブルへ運ぶ。
一応善逸の分も作ったけど、起きるかな?
寝ている善逸にそろりそろりと近付き、軽く声を掛けてみる事にした。


「善逸…?ご飯できたけど、まだ寝とく?」

ビクンと善逸の身体が跳ねた。
そしてうっすら開かれる目はまだ焦点が合っていない。
じゅるりと涎が吸われ、善逸の目が私を映した時、その口がやっと開いた。

「名前?おかえり」
「うん、ただいま。…しんどい?寝とく?」

善逸の髪を撫でながら言うと擽ったそうに頭を振る。
男の癖にサラサラなのが腹立つんだよね。ちょっとくらい分けてよ。
…いや、やっぱり金髪なんていらないわ。

「うーん…」

悩まし気な声で呻く善逸。
さっきの寝ている姿は全然そんな気配ないのに、何でこうも目が覚めると色気が出るんだコイツ。
トクンと胸が鳴ってしまった私はなるべく平常心で、善逸の顔を覗き込んだ。

すると寝ている善逸の手が伸びて私の背中に回し、強い力で抱き寄せられてしまう。


「ちょ、わっ」


突然のことに驚いて声を上げた。
善逸は瞼を薄く開けてにやりと笑っている。
全然目が覚めてるじゃん、何がうーんだよ。

「…なんのつもり?」
「頂こうと思って」
「一応聞くけど、何を?」
「名前」

善逸の上に乗ったまま、胸板に耳を当てた。
ドキドキという善逸の鼓動に私自身も鼓動が速くなってしまう。

「晩御飯作ったんだけど?」
「それは後で全部食べるから、心配しないで」
「馬鹿じゃないの」
「やっぱさー運動した後にご飯食べたほうが美味しいでしょ」

呆れてため息が漏れる。
善逸の手が私の耳に触れ、思わず私はピクっと反応してしまった。
コイツ、ほんと、コイツ…。
善逸の顔を睨むと、厭らしく笑う善逸がいた。


「何笑ってんの」
「いやー…ラブホ代がかからないって素晴らしいと思って」
「私そう言う意味で同棲したつもりないんだけどさ」

さわさわと私の身体を撫で始めた手を指で軽く摘まみ、抵抗してみる。
「いてっ」と声が上がったけど、すぐに私の手は善逸の手によって拘束され、何も出来なくなってしまった。
こういう時の善逸ってほんと楽しそうだよね。

「なんかもう少しムードとかさぁ」
「だったら、ラブホ行く?」
「いや、そうじゃなくて」

駄目だ。
コイツと話していてもヤルことしか考えてない。
半ば呆れて再度ため息を吐いた。

ぐるんと身体が回転して、気が付いたら私がソファの上にいた。
私の上にいる善逸は、片手でネクタイを緩める。
その動作がエロすぎて、私は思わず目を逸らしてしまった。

「ん?」
「何」
「顔赤いよ?」
「うっさい」

もっと暴言を吐いてやろうと思ったけど、すぐに善逸によって口は塞がれてしまった。
コイツ本当にむかつくんだけど、キス上手いんだよね。
毎回これで腰が引けて、結局されるがままになる。


はぁ。
明日、休みだけどさぁ。


「んっ…明日、朝寝かせてよね」
「…OK、朝までコースね」
「は?違っ…」
「問答無用」

結局善逸の思うがまま。
惚れた弱みで抵抗できない私は馬鹿だけどさ。



よく「あんたの彼氏害がなさそう」って言われる。
いや、害悪すぎるからこれ。








atogaki
和奏さま、リクエストありがとうございました!
現代パロで同棲生活というお話でしたが…
ただのエロ魔人と化してしまいました、申し訳御座いません!!
最初はこんなつもりではなかったんですが(ごにょごにょ)
こ、こんなのでよろしければ、お納めください、、、
ちなみに私はエロ好きです(ドーン)
この度はリクエスト有難うございました!

お題元「確かに恋だった」さま

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