【34】君の刃は
「もし絃乃さんが、この事を知った時は、はぁはぁ…」
「遊!無理するな。」
「お父様から、伝言ですから…」
「伝言…?」
お父様は最後に仰った。
「もし、絃乃が真実を知った時は…それでも、心から愛していたと、伝えてくれるか…?」
「父上…っあぁ…ああ…!!」
「絃乃…」
泣きじゃくる絃乃さんの背中をお兄様は優しくさすった。
お兄様は絃乃さんとは血の繋がりがあるけれど、私はない。だけど、絃乃さんが生まれた日のことは今でも鮮明に覚えている。
お母様を失って後、お父様に迎えてもらって、家族が増える瞬間に立ちあえて、心の奥があたたまっていくのを感じた。
だから、絃乃さんが私に冷たくあたるようになってすごく寂しかった。
例えお父様から真実を聞いたとしても、私は、私たちは家族だから…
「絃ちゃん…っ、また、姉と呼んでくれる?」
「…はいっ、姉上…」
「げほっげほ、はぁ、はぁっ…」
「姉上!!」
「遊!!」
「っもう、ダメかもしれ、ないっげほっはぁはぁ…」
息苦しさが増して咳と息切れが酷くなった。
胸をぐっと掴まれたような感覚。気を抜いたら意識が飛びそう。
「絃乃っ!急いで解毒しろ!」
「出来ない!!」
「何故だ!?」
「解毒の方法を知らないのっ!!…私にはまだそんな力がない…」
「!?…じゃあ、遊は助からないのか…!?」
私はこのまま死ぬのか。
トキ、ごめん。約束破っちゃうね…。
そう言えば、約束って…いつしたんだっけ?
「遊!!」
「おい、トキ!!いきなり連れて来よってなんやねん!!って遊!?なんや、どないなっとんねん!?」
「ト、キ…平子隊、長が…げほっ、なんで…?」
突然トキと平子隊長が部屋に入ってきた。
平子隊長にはこんなみっともない姿見られたくなかったなぁ。
トキは今にも泣きそうな顔でそばに居なくてすまなかったと言った。
「トキ、ごめんねっ…死なないって約束、守れそうに、ない」
「!約束を覚えてるのか…?」
「当たり前、でしょ?」
「そうか……遊、私が必ず守ると言っただろう?少し痛いかもしれないが許せ。」
「トキ…?」
「おい、平子真子!!もう二度と遊をひとりにしないと誓えるか?」
「!急になんやねん…」
「ずっとそばにいて守ると、誓えるか?」
「当たり前やろ。」
意識が朦朧とする中、理解が出来ない会話がされていく。
二度とってどういう意味…?
平子隊長の言葉を聞いたトキは立ち上がると、傍らにあった
時鳥を掴み刀を抜いた。
「確と聞いた。男に二言はないぞ!…遊の事はたのんだ。」
「だから、なんやねん!」
「
渡還れ
死出ノ田長」
薄れゆく意識の中で見えたのは、胸に刺さる
時鳥と目を見開いて驚く平子隊長と顔だった。
―痛くなんかない。
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