【14】今でも秘密にしてるのは



「…これを以て、三番隊第三席風雅遊を同隊副隊長に任ずるものとする。」
「ありがとうございます。謹んでお受け致します。」
「…堅苦しいな、遊。」
「いや、ここはちゃんとさせてよ、リサちゃん。」


あの後、隊舎に戻った私は副隊長就任の話をぜひともやらせていただきたいという旨を隊長へと伝えた。隊長は本当かと何度も確認して、しまいには涙目だった。え、断ると思ってたのかな。

そんな今日は任官状を八番隊副隊長のリサちゃんが直々に持ってきてくれた。
数日後に任官式が行われるみたいだけど、緊張するなぁ…。


数日後ー


「遊、副官章似合ってるよ。」
「ありがとうございます、鳳橋隊長。」
「え、今…」
「こういう日くらいは、正式名称で呼ばせてください。」
「正式名称って…」


朝から隊長とそんなやり取りをして、とうとう私の任官式が行われようとしていた。


「それでは新任の儀を執り行います。新副隊長は前へ出なさい。」
「はい。」
「ここに三番隊第三席風雅遊を同隊副隊長に任ずるものとする。異議がある方はいらっしゃいますか?」


一番隊副隊長・雀部長次郎の声で任官式が始まった。
一番隊隊舎に来たのも初めてだし、護廷十三隊全隊の隊長と各副隊長をこうして拝んだのも初めてで、萎縮しそうな気持ちをグッと堪えて立っていた。


「それでは風雅副隊長、一言。」
「はい。この度、三番隊副隊長に任命していただきました、風雅遊です。至らぬ点もあるかとは思いますが、命ある限りこの任を全うする覚悟です。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。」


任官式も終わり、その流れのまま伝達事項があると隊長会議が始まった。私はすぐ隊長の後ろにつくと隣でよろしくと藍染…副隊長だったかな?が声をかけてくれたので、軽く会釈をする。


「それでは以上です。質問がなければ、解散。」


やっと終わったと一息つくと、お疲れ様と隊長の声が聞こえた。一言二言交わしていると、おめでとさんって聞こえてきた。声のする方を見ればいつしか見惚れそうになった金糸が見えた。


「平子隊長、ありがとうございます。」
「硬い硬い、もっと肩の力抜きぃ?ずっとそんなんじゃ気持ちもたへんで、遊チャン。」
「そうだよ、少し力を抜きなよ。」
「は、はい。」
「ええ子やな、遊チャンは。」


もう口説いてんの?と呆れる鳳隊長とここで口説くのはやめてくださいと言う藍染副隊長とちゃうわアホとバツが悪そうに視線を逸らした平子隊長に少し肩の力が抜けたのは言うまでもない。


―ニヤッと笑ったあなたにドキッとした。

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