【17】あのね本当は



お先に失礼しますと四席に挨拶をした後片付けをして、すれ違う隊士と挨拶を交わし、自室へと戻る。
京楽隊長と飲んだあの日から色々と考えてみたけど、考えれば考えるほどよく分からなくて…。四十六室の裁定が間違っている?誰かに操作されている?そんな事をして誰になんの得があるっていうの。ルキアさんへの怨恨?朽木家への怨恨、もしくは妬み?だからと言ってこんな大掛かりな事する必要があるのだろうか…


「遊、考えすぎだ。」
「あ、トキ…ごめん、うるさかった?」
「いや、そんなことは無いけど、心配にはなる。」
「そうだよね、ごめんごめん。」


明日は非番だしゆっくり休もう。何も考えず。
そうだ、だいぶ部屋の掃除もしてなかったし、掃除して洗濯して過ごそう。




「遊は主婦か。」
「お、トキがツッコミを入れてきた。」
「今日は折角の休日なのに、朝早くから掃除って…」
「いいじゃない、たまには。」


翌日早朝、布団を干し、少しだけ散らかった部屋を片付けてホウキではく。
掃除をする私を横目にトキは窓辺で読書している。なんて優雅なんだ。そして、絵になる。これはモテるのもしょうがない。


「遊、いいから進めて。」
「はいはーい。少ししたらお茶にしよう?」

ドドドドドドトド

「え、何、なんの音?」
「確認してくる。遊はここにいて。」
「ぅ、うん。」


トキの話によると、すごい音と振動は何かと思えば、瀞霊門が降りたらしい。旅禍がこの尸魂界に侵入し、瀞霊廷に入ろうとしたらしい。数は5名。
しかし、なんの為に?目的はなんなのか。
これからどうなっていくのか。私は知る由もなかった。

翌日、瀞霊門はまだ降りたままで、隊舎に行けば隊長と副隊長が話していた。


「おはようございます。」
「あぁ、おはよう!トキ君は今日も遊ちゃんと一緒だね。」
「おはようございます、隊長。私は遊を守る為にいますから。」
「あはは、そうだったね。愚問だったかな。」
「旅禍が尸魂界に入ったのだとか。」
「遊ちゃん、お休みだったのによく知ってるねぇ。まぁ、あれだけ派手に門が降りたんだ、無理もないか。」
「とりあえず、旅禍の方に動きがないようだから警戒だけに留まっています。」


カンカンカンカンカンカンカンカン
―隊長各位に通達!隊長各位に通達!只今より緊急隊首会を招集!!―


「「「「!!!!!」」」」
「こりゃ参ったね。」
「っ…!」
「遊さん!?」
「遊ちゃん、大丈夫だよ。ゆっくりと息を吐いてごらん。」
「はぁっはぁっはぁ…」
「いいかい、遊ちゃん。ボクは行かなきゃいけないから付いていてあげられないけど、トキ君もいるし七緒ちゃんにもお願いするから大丈夫かな?」
「はっ、は、い…っ」
「うん、いい子だ。トキ君、七緒ちゃん任せたよ。」
「は、はい!」


100年だった今でも、鳴り響く警鐘の音はトラウマで発作が起こる。結局、私はあの日の自分を許せずにいる。どうして何がなんでも彼らに着いて行かなかったのかって。私の中の私がそう責めたてているような気がして、息苦しくなる。
ねぇ、真子さん…


―本音を言えば、生き苦しいよ。

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