【1】拝見、お元気ですか



特別な力があったり、ずば抜けて強かったり、稀に見る才能があって、100万年に1人の美女ー

なんてことはなくて、私はどこにでもいる普通の死神で、まぁ…才能はあったのかどうかわからないけど、少なくともそういう素質があったおかげで席官にもなれた。


「風雅さん、この書類お願いしたいのですが…」
「はい。そこに置いておいてください。」
「ありがとうございます!よろしくお願いします!」


八番隊の第五席という席をいただいて100年近く経とうとしている。最初は周りに馴染めず、上司も部下も私との接し方に戸惑っていたのが懐かしい。
京楽隊長のおかげであの頃が嘘かのように、ありがたい事にみんな親切に接してくれる。


「戸惑っていたんじゃない、遊が勝手に距離を取っていただけではないか。」
「トキ、人の心を読むのはやめてくれる?」
「聞こえてくるのだ、仕方あるまい。」


この子は無限トキ。八番隊第六席。八番隊に移籍することになった時からずっと一緒にいてくれている。
ほら、先程預かった書類の山をこうして半分持って行ってくれる。とても優しい子なのである。


「いつもありがとう。」
「何を今更…。」


目を合わさないのは照れてる証拠。
そんな様子に微笑むと軽く頭を小突かれた。
もうー、痛いなぁ…なんて思いながら見上げると、トキの後ろの窓から見える空がそれはそれは青かった。


―私は今日も生きています。


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