【22】今だから思うのですが
最後の一撃は敵ながら凄まじいものだった。あんなのを受けてたら大変だったって言えば、そうかもしれないだなんて呑気すぎる。呆れていると、隊長を呼ぶ七緒さんが見えた。
「どうしたの。息切らせて、らしくない。」
「今、裏廷隊の方が来ていましたね。」
「何だい?」
「藍染隊長がお亡くなりになられました…!」
「え…!?」
「死因は斬魄刀による鎖結及び魄睡の摘出と心部破壊…。事故死ではなく殺害です。犯人は不明…。」
「そんな…」
藍染さんが殺された?…なんでだろう、涙が出ない。思い入れのない相手では無いし、もちろん衝撃的ではある…でも、本当に死んだの?
総隊長と日番谷隊長の連名による一級厳令だと言うのだから、間違いない情報なのだとは思う。
思うけど…私の中の何かが警報を鳴らしてる。
「そうか…惣右介くんが…。…遊ちゃん、大丈夫かい?」
「え…?ぁ、はい。不思議と…」
「そうかい。なら、よかった。…とりあえず、顔でも見に行こうか…」
「…はい。」
隊長の後ろに着いて行こうとしたら、背後で副隊長の足が止まる気配がした。
まずい。旅禍はまだ息をしている。隊長はお優しい方だ。ここで彼の命を奪う事などするはずがない。
しかし、真面目で実直な七緒さんの事だ、この現状で旅禍を生かしておくなど許さないかもしれない。
「どうかしましたか、伊勢副隊長?」
「…死んでいませんね、この旅禍。」
「あれ、そうでしたか?」
「……」
「止め、刺しておきましょうか?」
「よしなさい。女の子がそういうことするもんじゃないよ。」
スっと今にも鬼道を発動させて本当にやってしまいそうな副隊長を隊長が止めてくれた。
誰が藍染さんを殺害したかわからない。この状況だ、誰が旅禍の仕業だと疑っても仕方がない。だけど、そうじゃないかもしれない。
私も隊長と同意見だ。
「ただの可能性の話さ。とにかく…無闇に殺す必要はないでしょ。救護隊を呼んで、どこかの牢へ入れといてもらおう。遊ちゃん、手配頼める?」
「はい、もちろんです。」
「うん。…彼等が犯人かもしれないなら尚更殺すべきじゃない。わかるね?」
「…了解しました。遊さん、手配お願いします。隊長、差し出がましい真似をして申し訳ありませんでした。」
ため息をついて、面倒なことになってきたねぇ…と言う隊長の背中を私は見つめることしか出来なかった。あとは頼むねと言われて頭を下げた。
「さてと…」
「四番隊へは私が行こう。」
「うわぁ!トキ!急に出てこないでよ!びっくりしたぁ…」
「すまない。とりあえず、遊は待ってて。」
救護隊が来るまで、出来る限りの治療をしておこうかな。これでも卯ノ花隊長のお墨付きなんだから。
―目に見えるものだけが真実じゃない事もある。
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