【23】私にも教えてよ



救護隊が着く頃には旅禍の治療もある程度終わっていて、四番隊の子も驚いていた。


「これを、風雅五席が施されたのですか…?」
「えぇ…まぁ、応急処置程度ですが…」
「いや、完璧です。卯ノ花隊長からお噂はかねがね聞いておりましたが、ここまでとは…。」
「よかった。この旅禍はこのまま四番隊にお願いしてもよろしいでしょうか?」
「はい!四番隊の牢へ収容しておきます。」
「よろしくお願いします。」


旅禍を四番隊に任せてその場をあとにした。目を閉じれば、各地で戦いが繰り広げられているのがビシビシと伝わる。


「遊?どこへ?」
「隊舎に戻る。」
「あいつの顔、確認しに行かなくていいの?」
「隊長が向かったならそれでいいかなって思って…。私が確認した所で…」


そう、私が確認したって仕方がない。そもそも何をこんなに疑っているのだろう。藍染さんが死んでしまったことは残念だと思う。また一人、100年前を知る人が減ってしまった。副隊長になった時、色々と教わっていたし、彼と付き合ってからは顔を合わせる回数も多かった。
だけど、藍染さんに馴染むことが出来なかったのも事実で、何かと彼も私を藍染さんに近づけることも避けていたように思えた。


「遊、瀞霊廷内の情報を集めてきた。」
「さすがトキ、仕事が早いね。」
「ただ、少し混乱しているようで…」
「混乱?」
「結論から簡潔に言うと吉良くんと雛森さんが牢に収容された。」
「はぁ!?」


どうやら藍染さんの第一発見者は雛森副隊長だったらしい。雛森さんがあの人を心から尊敬し慕っていることは知っていた。そんな人が目の前で死んでいるのを見れば誰だって取り乱す。気持ちは分かる。
そんな彼女は何故かギンちゃんを疑って斬りかかろうとしたのだとか。
そして、不幸なことにそれを止めに入ったのがイヅル君だったわけだ…。辛かっただろうに…。
そんな二人を止めたのが日番谷隊長だったらしく、隊長の命によって牢に入れられたらしい。


「そんなことが起きてたんだ…。でも、五席の私には何も出来ない。ひとまず隊長の指示を待とう。」
「遊…。」
「あらぁ、今日も一緒におるんやねぇ。」
「市丸ギン…!」
「トキ、隊長よ。」
「…失礼しました。」


かまへんかまへんと目の前に現れたのはギンちゃんで、やっぱり今日も何を考えてるのかわからない。


「こんな所にいていいんですか?」
「ちょっと遊ちゃんに会いたなってん。トキちゃん、遊ちゃんと二人きりにしてくれへん?」
「何を…?!」
「大丈夫だから、先に隊舎に戻ってて?」
「……わかった。」


―何を隠しているのかを。

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