【26】みんなそうなのかな
「遊、向こうの世界で何かが起きてるかも。」
「わかった。また来るね。」
精神世界から現実世界に意識を戻せば、目の前にはトキがいた。どうしたのかと聞けば、阿散井副隊長・雛森副隊長・吉良副隊長が牢から脱走したという。何が起きてるのよ、まったく。
「どこにいるのか分かってるの?」
「いや、捜索してるみたいだ。」
「なるほど…。どうせ眠れないし探しにでも行ってみようか。」
目を閉じてそれぞれの霊圧を探してみる。元々探知能力はずば抜けてできる訳では無いけど、集中すれば瀞霊廷内であればなんとか探せる。
「いた…っ!何この霊圧!?」
「…氷輪丸のみたいだね。」
「てことは、日番谷隊長ってこと!?近くにギンちゃんの霊圧も感じる!とりあえず、行こう!」
死覇装に着替えて時鳥を手に取り、部屋を飛び出した。久しく使わない瞬歩で覚束無い足が気持ちをイラつかせた。京楽隊長の部下でありながら情けない。これが終わったら鍛錬しないとな。
「…ちょっと!!何やってるのよ!?」
「風雅…!?」
霊圧を辿って着いた場所は始解している日番谷隊長、神槍を受け止めている乱ちゃんと乱ちゃんを見つめるギンちゃんがいた。私を少しだけ視界に入れるとギンちゃんは神槍の始解を解いて背中を向けた。
「! 待て市丸!!」
「ボクを追うより、五番副隊長さんをお大事に。」
「ギンちゃん!」
ギンちゃんはいつもの如くあっという間に消えた。
バカね、なんて顔してるのよ。
とりあえず、今はこの場をどうにかしなきゃいけない。
「乱ちゃん、大丈夫?」
「遊…」
「腕、いっちゃったでしょ。今手当するね。」
「ありがとう…。」
ギンちゃんの神槍を受け止めた乱ちゃんの斬魄刀にはヒビが入っていた。乱ちゃんの腕は震えていて、それは衝撃のせいだと言うことにした。
「乱ちゃん、そんな顔しないで?」
「ごめん、遊…。」
「乱ちゃんが謝ることないよ。ギンちゃんもきっと何かあるんだよ。言わないだけで。」
鬼道で治せるところまで治して、包帯を巻いてあげた。日番谷隊長は雛森副隊長の所にいるみたいだね。包帯を巻き終わりテープで固定した。
「はい、完成。」
「ありがとう。さすが遊ね、完璧。」
「これからどうするの?」
「とりあえず、隊長の所に行くわ。あんたは?」
「私は隊舎に戻るよ。何かあれば連絡して?」
乱ちゃんとわかれて隊舎へ向かう。隊舎に向かって飛んでいった地獄蝶の理由をすぐに知ることになる。
私は二人の未来を祈ることしか出来ない。
―私たちは不器用に出来ている。
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