【34】何かと理由をつけたがる
「トキ、お茶をお願い。」
「…わかった。」
「お、なかなかの男前じゃの!」
「……。」
「トキ、挨拶くらいしなさい。」
「どうぞごゆっくり」
色んな話を聞きたかったし、外では話せない内容もあるだろうからと、とりあえず私の部屋にと思って帰ってくれば夜一さんに対して警戒心丸出しのトキの出迎えに頭を抱えた。
「すみません…」
「よいよい!なんじゃ、今の恋人か?」
「まさか。トキは…家族みたいなものです。」
「ほぉ…。」
「なんですか…?」
「もうあやつの事は吹っ切れたのかと」
どう受け止めればいいのかな。私には一生彼以外の人なんてありえないわけで…。…でも、いつか彼以外の人を好きになる事が出来る日が来るのかな…。
「悪い、お主は一途じゃったな。」
「あはは…。あの、夜一さん…」
「遊、100年前のことじゃが…」
「あの…喜助さんや夜一さんのことは、最初から疑ってなんかいませんから、その…謝るとか、そういうのは無しでお願いします。」
「!!…それはそうじゃが、喜助の研究のせいでこうなってしまったことは否めぬ事実でもある。」
「あはは…喜助さんらしいですね。」
喜助さんの作り上げた『崩玉』のせいで真子さんや鳳隊長やリサちゃん達が"虚化"してしまった。でも、それはそうしようと思って作ったわけではないと思うし、彼らが虚化したのは藍染惣右介のせいだって分かってる。
「あの時はああするしか無かった。皆を助ける為に儂らは現世に身を隠したのだ。お主に告げる暇もなく不安な思いをさせてしまったようで、本当にすまなかったと思おとる。」
「…え?…"助ける"為に…?」
「そうじゃ。」
「虚として処理されたんじゃ…」
「まぁ、表向きはそう言っているようじゃが、実際は儂と喜助と鉄裁で全員現世に連れていったのじゃよ。」
「!!!」
…生きて、る?皆、生きてるの?
ふつふつと胸の奥で何かが湧き出てくる。意思に反して涙がポタリポタリと溢れ出した。
「…皆さんは生きているんですか?」
「無論じゃ。自分の目で確かめるが良い。」
良かった…良かった…。生きているなら、いつか会える。この100年は無駄じゃなかった。まためぐり逢うための100年だったんだ。
乱ちゃん、忘れずにいてよかったよ。
―そうしないと立っていられないから。
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