【5】甘くない
「今ハゲっつった二人順番に出て来い…」
「気にしない方がいいっスよ。人間のタワ言なんだから」
「うるせえっ!真っ二つにしてやらァ!!」
「木刀で?」
「僕も加勢するよ一角!!」
「……………誰か、この位置代わってくれ……風雅と無限はどこいった……」
なんか、日番谷隊長の声が聞こえた気がした…。
大丈夫だったかな?
「遊、どう?現世の制服!」
「似合ってますよ。」
「おい、遊、トキ。なんでテメェらだけ制服じゃねぇんだよ。」
「なんか手違いでトキの分の制服が」
「あんな物絶対に着ない。」
「おや、トキ君のスカート姿も僕は似合うと思うよ?」
弓親に言われても嬉しくないわよねぇって笑う乱ちゃんとそれに怒る弓親君、それぞれ現世で着る服に対してあーだこーだ騒いでいた。
「遊、向こうに着いたら、あんたはトキと一緒に探しに行きなさい。」
「でも…」
「その為にあんた達をこの件に巻き込んだのよ?」
「ここは松本副隊長のお言葉に甘えよう。」
「隊長達は任せて!」
って、出発前に言っていたけど…
「やっぱり一緒に行けばよかったかな…?」
「…たまにはいいんじゃないか?」
「……そうだね。」
私とトキは制服が足りなかったため、現世の服を着ることになった。さすがにあんなに短いスカートは履きたくなかったらしい。
「しかし、まぁ、分かってはいたけど…そう簡単には見つけられないよねーーー!」
「遊の探知能力でも難しい?」
「うん…。私如きの探知能力で見つけられたら、既に100年前に尸魂界に見つけられてタダでは済まなかったはず。隊長格レベルの人達だし、喜助さんも絡んでるのであれば、尚更簡単な事じゃないと思う。」
それでも、微かにだけど懐かしい霊圧を感じ取れるのは気のせいなのだろうか。その霊圧の元に行きたくてもモヤがかかっていて場所が特定できない。
でも、みんなこの街にいるんだ。
「あ、遊いたいた〜!」
「乱ちゃん、もう学校での用は終わったの?」
「ええ。そっちはどう?見つかった?」
「ううん、いる気はするんだけど…」
「そう…。今から一護ん家に行くんだけど、あんた達も行く?」
「うん、そうしようかな。」
じゃ、行きましょうと鼻歌を歌いそうな勢いの乱ちゃんについて行く。このまま探し続けてもなんだか見つからなさそうだから、一旦みんなと合流した方が良さそうだな…。
「………。」
「トキ?」
トキの気配が無くて振り返ったら、さっきの場所に立ったまま遠くを見つめていた。少し近づいてどうしたのかと私が聞けばなんでもないと私の手を引いて歩き出した。どうしたんだろう?
―わかっていた、わかってはいたけど。
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