【16】全てが終わって



「アホやな。」
「だな。」「だね。」
「しんずぃのアホー!」
「どいつもこいつもなんやねん!」


遊にあんな風に言ったことを少しだけ後悔した。そして、今こうしてこいつらに責められとる。


「なにもあんな風に言わなくても。」
「遊のやつにちゃんと説明してやれば分かってくれるだろ。」
「遊は副隊長なんやから信用してやっても良かったんやないの?」
「そうだよ。遊は僕の副官だったんだからね?」
「そうだそうだ!遊ちゃんは強いんだからね!」
「おい。そういや、ひよ里は?」
「ああ、ハッチに頼まれてさっきの織姫ちゃんてコを迎えに行ったぜ。」


拳西の質問に羅武が答えた。織姫ちゃんに同じ力を感じたハッチがゆっくり話してみたいて言うて、ひよ里が迎えに行った。
ひよ里の奴もう少し優しく連れて来られへんのか。織姫ちゃん、腰打ったであれ。


「わかんないーーーー!!なんでハッちん急にあの子の武器治しちゃってんのーーー!?なんで遊ちゃんは突き放したのに!!なんなのあの子急に出てきてやだー!!うーーざーーいーー!!!」
「ピーピーうるせえ!!」


突然連れてこられた織姫ちゃんは最初は戸惑っとったものの、ハッチと波長が合うのか直ぐに意気投合して彼女のヘアピンを治してもろうたらしい。
白はひたすらに駄々をこねていた。あいつは昔から遊が好きやったからな…。
ハッチはハッチで治したくせに織姫ちゃんが戦う事を止めた。まあ、意志の確認せんと下手な事言えへんしな。


「それでもアナタは…戦いたいんデスか…?」
「…はい。戦いたいです…!」
「…それなら良いデス。アナタは未だ自分の能力を知り尽くしてはいナイ…。戦う術は必ずありマス。良く心に留めておいて下サイ…。大切なのは『どうあるべきか』ではなく『どうありたいか』デス。」
「!…遊さんにも同じ事を言われました。」
「「「!!」」」
「心に留めておきます!」


織姫ちゃんが帰った後、俺の頭は遊の事でいっぱいになった。あいつも成長しとるんやな、なんて思いにふけとったらローズが何やらドヤ顔でこっち見とるやんけ。
修行を続ける一護を見守っとったら、拳西からメシやと集合をかけられた。メシを食い終わると集合に遅れて皿洗いさせられとった一護が衝撃的な一言を放った。


「そういうや、あんたら遊さんと知り合いだったのか?」
「「「…!?」」」
「遊さんが探してた人って平子達だったのか。乱菊さんが言ってたけど、あんたらの事…ってなんでそんな怖ぇ雰囲気になってんだよ!」
「ええから修行の続きやんで。」


そや、あいつの事ばかり考えてられへん。
崩玉が完全覚醒するんが12月の終わり…。それまで後二ヶ月。少し急がんとあかんな…。


―お前の元に帰れるやろか。

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