【23】役割があっても



そして、戦いの火蓋は切られた。


偽の空座町に現れた元隊長三名と藍染が率いる破面の軍団。


京楽隊長の計らいでここにいられる私は、卯ノ花隊長の推挙により卯ノ花隊長や虎徹副隊長不在の穴を埋めるための救護班として呼ばれた。

戦闘の邪魔にならないように控えているつもりだったけど、気のせいなのか一瞬ギンちゃんと目が合った気がした。


戦闘が始まり、隊長副隊長の方々が交戦している。
全神経を戦場全体に向けて全員の状況を確認する。幸いなことにまだ大きなけがや傷を負った方はいらっしゃらない。


「乱菊さん!!!」
「!!?」


少し向こうの方で雛森副隊長の声が聞こえて、そちらに集中すれば乱ちゃんの霊圧が揺らぐのを感じた。
このままじゃやばい…。


「遊さん!!一緒に来てくれ!!」
「うん!!」


その声は檜佐木くんだった。そばにはイヅル君がいて、どうやら二人に加勢する為に向かうところらしい。
遊さんは松本副隊長の治療をお願いしますと言われ、現場に到着すれば腹部を大きく負傷している乱ちゃんが横たわっていた。


「乱ちゃん!!」
「はっ…遊っ…はっ」
「しゃべらないで!すぐ治療するからね!」


このままじゃやばい。敵が治療を待ってくれるわけないし、雛森副隊長もいる。


「こいつは俺が引き受けとく。お前は雛森と乱菊さん、それから遊さんを頼む。」
「…いいんですか、丸投げしちゃって。」
「誰が丸投げしろっつッた!応急処置したら鬼道で目隠ししてこっちに加勢すんだよ!遊さんに何かあったら、ぶっ飛ばすからな…。」


それだけ言うと檜佐木くんは一人で向かっていった。イヅル君は雛森副隊長を連れてくると結界を張ってくれた。
乱ちゃんもまずいけど、雛森副隊長もまずいはずだ…。集中しなきゃ…。早く乱ちゃんを治して、次は雛森副隊長を…、イヅル君を戦場に戻さないと…。

気持ちばかりが焦る。
現実は思ったようにならなくて、外で戦っていた檜佐木くんも助けに来た射場くんも負傷してしまった。


「…く…来る…!くそっ…」


あと少し…あと少しなのに…!!


「総隊長を前に出させるとは…情けない隊員達じゃの」
「……や…山本…総隊長……!!」
「役割を果たせ、風雅」
「…はい!」

思い出せ思い出せ思い出せ…!!私がここにいる意味を!!

―役に立たなければ意味がない。

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