【30】どこの誰よりも
「これ、綺麗な花ね!てか、あんた部屋に花飾ったりするのね」
「え?…ああ、それ勿忘草って言うの。」
「わすれなぐさ?」
「そう。…花言葉は、"私を忘れないで"」
「なによ、なんか切ないわね」
遊は少し驚いた後、乱ちゃんも彼と同じこと言うのねって笑ってた。
遊の恋人だったって言う元隊長さんとの思い出の花らしい。
「5日間の現世任務で離れるだけで寂しくなるとか、遊も意外に可愛いとこあんのね」
「乱ちゃん、それどういう意味?」
プッと吹き出して二人で笑い合った。
でも、本当はあの時…―
と遊は続けた。
「そうだったのね…」
「まあ、それは叶わなかったけど…。今はみんなのこと忘れてしまう事が怖いなと思うの。」
「大丈夫よ!今でもちゃんと覚えてるじゃない!」
「たまに…顔がモヤッとしてたり、声が思い出せなかったりするの…」
「遊…」
それが何よりも怖いよ、年寄りみたいだよねって切なげに笑ったのを今でも覚えてる。
そんな遊が卍解を習得した時、あの子は泣いていた。
「私の卍解は使えない…っ…」
「時鳥の卍解って…」
「始解では時を操る力が使えるって…」
「そう…卍解はより強い力で操ることが出来る…。でも、強力であればあるほどその分の代価を払わなければならない…」
そして、遊は代価を払った…。
遊の卍解見るのはもちろん初めてで、解号を詠唱した瞬間に何かが爆発したかのような発光が起きた。
その眩しさに瞑ってしまった目を開けば遊もその周りにいた仮面の軍勢達も倒れていた。
「遊ーーーっ!!」
「救護班!!安否の確認をしてください。」
「はい!」
卯ノ花隊長の命令で四番隊が確認すれば、仮面の軍勢は全員の怪我が完治しているらしい。
「しかし…風雅五席は…」
「…ゴホッ…」
「「!?」」
「遊!!」
「直ぐに治療を始めます!!」
急に遊が吐血した。
藍染にやられた傷と卍解を使って体に大きな負担がかかった事が原因らしく、卯ノ花隊長が直ぐに治療を始めてくれた…。
遊、あんたはそれで良かったの…?
代価を払ったらあんたは…
―あんたの幸せを祈ってる。
prev next
back