【34】今更だけど
「平子隊長、失礼します。」
「おー」
結局、俺は五番隊隊長に戻った。
目の前に居るんは副隊長の雛森桃。
「荷物の整理終わりましたか?」
「まあ、荷物言うてもそこまでやないけどな。」
「なんか珍しい物が多いですね。あ、このお花全然枯れないですね。」
「せやな。俺の世話がええんやろな!」
遊からもろうた勿忘草は花瓶に入れて飾っとった。こんな俺が毎日水を替えて世話しとる。
確かに桃の言う通り、この花は不思議なことに枯れる気配がせえへん。
「しかも、白い勿忘草なんて珍しいですよね。」
「そうなんか?」
「薄い青色の勿忘草が多いんですけど、白いものは中々見ないですよ。」
珍しい白の勿忘草…。
この勿忘草にはどんな意味があるんや。
結局、ほんまに遊には会えてへんし、遊の事を誰に聞いても知らへんか誤魔化されるばかり。
探しても遊の霊圧すら感じひん。
「あ、勿忘草の花言葉はご存知ですか?」
「"私を忘れないで"…やろ?」
「あともう一つあるんですけど「そんくらい俺かて知っとるで」
「平子隊長は物知りですね!じゃ、白い勿忘草の花言葉だけ少し違うのはご存知ですか?」
色が青から白になるだけで、意味が一つ減るらしい。遊、そのもう一つの意味は、お前の思いはもうない言う事なんか…?
俺は戻ってきたのに…なんでお前が居らんのや…
「どうしたんだい、そんな顔して。」
「ローズ…」
「まだ遊についてわからないのかい?」
「ああ…なーんも掴めへん。」
勤務時間も過ぎて、隊首室でぼーっとしとった。花瓶にささっとる勿忘草を指先で少し遊ぶと、そこから微かに感じる遊の霊圧に胸が苦しくなった。
「大丈夫だよ。遊とはまた会えるさ。」
「せやな…。」
―100年こんな気持ちで過ごさせてたんやな。
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