【35】みんなの思いは



「…ん…」
「遊、目が覚めた?」
「…トキ…?」
「卯ノ花隊長を呼んでくるから、待って「行かないで…お願い…」
「大丈夫よ、遊。あたしが代わりにここにいるから。トキ、行ってきて。」
「すみません、松本副隊長。よろしくお願いします。」


やっと遊が目を覚ました。
こんなに不安そうなこの子を見るのは初めてかもしれない。そして、まだこの子の代価がなんだったのかは不明のまま…。


「気分はどう?2日も寝たままだったのよ?」
「乱ちゃん…私…、ぁ、みんなは無事…?」
「ええ、みんな無事よ。平子さん達もあんたの卍解のおかげで擦り傷一つないわよ。」
「…?」
「どうしたの?」


まだ意識がはっきりしない中で、やっぱりあんたはみんなの心配をするのね。
遊の言っていた代価が一護と同じような霊力を失う様なものなのではないかと危惧してたけど、その様子はない事に少しだけ安心した。
気になってるだろうと彼らの無事も伝えてあげると、まだぼんやりするのか反応がない。


「乱ちゃん…」
「なに?」
「ひらこさんって誰?」
「!?何言ってんのよ!あんたずっと待ってた人じゃない!」
「え…ごめん、誰だろ……?」
「あんたが卍解まで使って助けた人達の事覚えてないの…?」
「卍解…?私、乱ちゃんと別れた後、卯ノ花隊長の手伝いをしに…あれ?そこから覚えてない…」


彼らの話を聞いても誰一人として知らないと言う。100年前の記憶も曖昧で、そんな昔のこと覚えてないよなんて笑う遊に、あたしは泣きそうになった。遊が一番怖がってた事が現実になってしまった。
遊、あんたはそれで良かったの?

少しすると遊はまだ完全に回復していないせいか眠いと言って寝てしまった。


「もうすぐ卯ノ花隊長と京楽隊長がいらっしゃります。」
「トキ…遊、あの人達の事何も覚えてないのよ…」
「対象となる者との記憶と交換に時を操る力…、それが遊の代価です。」
「トキ…あんた知ってたの?」
「はい」
「なんで止めなかったのよ!!あんたが一番この子の事分かってるんじゃないの!?」
「分かってますよ…」


ごめん…そんなのあんたが一番分かってて、一番遣る瀬無いのよね…。


―なんで何一つ上手くいかないの。

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