【0】君の傘になりたい



泣かないで。
君が泣くと雨が降るんだ。


「…っ……っ……」


土砂降りの雨の中―
ずっと泣いている君に胸が痛んだ。

こんな気持ちになるのは初めてな気がする。


「遊…もう泣くな」
「…トキっ…」
「これからはそばに居るから、もう泣くな。一緒に生きよう。」


"かみさま"なんて奴がいるなら
頼む…

この子を、遊をそばで守っていきたい。その為の力を、機会を、私に与えてはくれぬだろうか。


「ごめん…トキっ、私、頑張るからっ…っ…!!」
「うん…」
「そばにいてくれる…っ?」


泣きじゃくる遊を強く抱き締めて、私も泣いた。
君をこんなに悲しませるあいつを私は許せない。殺してやりたいが、奴はもういない…。

私がお前の代わりに遊のそばで守ってやる。深く後悔しろ。


「もちろん。私が遊を守るよ。…だから、行こう。みんなが待ってるよ。」


君が泣いたら傘をさそう。
雨が降ったら傘を、君が濡れぬように…私が君の傘になるよ。


―仮初だったとしても。

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