【1】夢の中の私は



目が覚めたら四番隊の隊舎だった。
トキが隊長を呼んでくると言ってそばを離れた瞬間に、どこかで味わった事のある不安感に駆られて思わず袖を掴んでしまった。
近くに乱ちゃんもいてくれたことで安心することが出来た。


「気分はどう?2日も寝たままだったのよ?」
「乱ちゃん…私…、ぁ、みんなは無事…?」
「ええ、みんな無事よ。平子さん達もあんたの卍解のおかげで擦り傷一つないわよ。」


ひらこさん…って誰だ?
私は藍染との戦いの中で負傷して…みんなもやられて…。護廷十三隊の中にひらこなんて人いたっけ…?


「ひらこさんって誰?」
「!?何言ってんのよ!あんたずっと待ってた人じゃない!」
「え…ごめん、誰だろ……?」
「あんたが卍解まで使って助けた人達の事覚えてないの…?」
「卍解…?私、乱ちゃんと別れた後、卯ノ花隊長の手伝いをしに…あれ?そこから覚えてない…」


私、なんで卍解なんか…?
まだ一度もやった事なんかないのに…。
乱ちゃんは何人か名前をあげてくれたけど、誰も知らなかった。話では100年前に隊長格だった人達が藍染のせいで虚化したとかで…"仮面の軍勢"って言うのだとか…?


「100年前って、そんな昔のこと覚えてないよ〜」
「っ…そう…。」


どうしてそんなに悲しそうな顔をするんだろう…。
私がそうさせてるのかな…?

"遊、もう少し眠りなさい。"

だれ…?時鳥…?あれ…なん、か…


「乱ちゃん、ちょっとまだ眠い…かも…」
「おやすみ、遊…」


もう一度眠った私は金色の糸に包まれる夢を見た。暖かくて懐かしい感じがして、夢の中の私は何故か泣いていた。


―私のようで他人みたいだ。

prev next
back