【2】準備を始めよう



昨日、遊ちゃんが目を覚ました。
トキくんが報告に来て卯ノ花隊長と駆けつけたけど、遊ちゃんはまた眠ってしまった。
まだ回復しきっていないせいなのか、数時間に一度起きてはまた眠るを繰り返している。


「隊長…ご迷惑をおかけしていて申し訳ありません…。」
「なぁに言ってるんだい。仕事の事はボクと七緒ちゃんで何とか出来るし、今はゆっくり休むんだよ。」


睡魔には勝てないらしく、遊ちゃんはまた静かに眠った。時を操る力の副作用で回復に時間がかかっているのではないかと卯ノ花隊長が言っていた。


「トキくーん」
「はい、ここに。」
「遊ちゃんのこの副作用はなんとかならないのかい?」
「私の力では…」
「そうなんだ。どうしようねぇ。」
「あの…方法は、なくはないのですが…」


トキくんは少し躊躇しているようだったけど、ここは手段を選んではいられない。遊ちゃんのためにトキくんには一肌脱いでもらおう。
そして、遊ちゃんが無事に復帰する為には皆の協力も不可欠だと言うことで…


「皆さん、今日はお集まりいただきありがとう「挨拶はいい。要件を話せ、京楽。」
「まぁ、そう焦りなさんな。ボクんところの五席の遊ちゃんの事なんだけどね」
「あの卍解したやつだな。」
「そう。卍解の影響で、残念な事に平子くん達の記憶がないんだ。」


もうすぐ平子くんたちが復帰するし、遊ちゃんが復帰した時に混乱を招かないように話を合わせてもらいたい旨を伝えた。多少眉間にシワを寄せる人もいたけど、卯ノ花隊長のおかげで納得してもらえた。


「だけど、風雅はまだ回復しきっていないんだろう?」
「うん。だから、遊ちゃんには一旦ご実家に帰って貰うことにしたよ。」
「!!」
「実家って、…時園家か…?」
「そうだよ。」


浮竹の顔が強ばるのも無理もない。
遊ちゃんは100年前、勘当されたのだから。


―君の平凡な日常のために。

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