【20】心からの謝罪



「まぁまぁ、立ち話もなんだから座ったらどうだい?」


ウェーブがかった髪の隊長の一言でみんなが席についた。
目の前に座る平子隊長と目が合って胸が少し苦しくなった。この感覚、前にもあった気がする。いつだったかな。


「さて、じゃあ自己紹介でもした方が良さそうだね。ボクは鳳橋楼十郎。100年前にも三番隊の隊長を務めさせてもらってたんだよ。そして、君が副隊長だった。」
「あ…そうだったんですね。私は"鳳橋隊長"の元で副隊長を…」
「…そう。千鉄さんが引退した事をきっかけにボクと千鉄さんの推薦で副隊長に就任してもらったんだよ。覚えてないよね…?」


副隊長だったことは微かに記憶にあった。千鉄さんの事もなんとなく覚えてる。
そう言われてみれば…


「千鉄さんに…"楼十郎を頼んだよ"って…言われた気がします…」
「「「「!!」」」」
「すみません、全てを鮮明には思い出せないのですが…」
「まあ、こうしてお話していれば何か思い出すかもしれないね。」


無理しなくていいからねと言う鳳橋隊長の表情は少し切なげだった。隊長は最後に"鳳隊長"と呼んでくれたら嬉しいと言った。私が昔そう呼んでいたらしい。


「じゃ、次はあたしね!」
「なんでやねん!次はローズの隣に座ってる俺やろ!」
「久南白だよ!100年前は遊と同じ副隊長やってたんだけど、今はスーパー副隊長!」
「無視か!しかも、なんやねんスーパーて。」
「で、隣にいるのが、九番隊隊長の六車拳西だよー!」
「待て!なんでお前が俺の分まで言ってんだ!」


いーじゃーん!って自由奔放な彼女を見たら一気に緊張が解けて、三人のやり取りに少し笑ってしまった。


「あ、遊が笑ったー!」
「ぁ、すみません…」
「別に構わねぇよ。昔もそうやって笑ってたよ、お前は。」
「!…ありがとうございます、拳西さん、"白さん"」
「やだやだー!遊!昔みたいに"白ちゃん"って呼んでよー!あと敬語もダメ!」
「ふふ、わかったよ、白ちゃん。」


昔からそうだったがこいつの事あんま甘やかさないでくれと言う拳西さんは、わからないけど、きっと今も昔も変わってないんだろうな。

次は俺やなと金色の前髪が揺れるとまた胸が小さくぎゅっとなった。
先日お会いした時の彼とは全然違った。そこに悲痛な表情はどこにもなくて、私を映す薄茶色の瞳に心拍数が上がった。


「平子真子や。今も昔と同じ五番隊の隊長やらせてもろうてる。昨日はごめんなぁ、遊。久々に知っとる顔に会えて取り乱してしもた。堪忍な?」
「あ、はい…こちらこそ、久々にお会い出来たというのに、皆さんの記憶がないなんて…本当に申し訳ありません。」
「!!」


わからないけど、きっと昔のように接してくれる皆さんの優しくあたたかい思いに触れて、心から申し訳ないと思った。両手を着いて深く頭を下げて謝罪することしか今は出来ない。


―夢の中の自分にも謝りたかった。


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