【23】明日の約束
その日は突然やってきた。
魂魄消失事件が起きとって、その調査に九番隊がその調査に向かった。
外での用事を済ませた俺は隊舎に向かってふらふらと歩いとった。
「真子さん!」
「おー、遊。と、ローズ。」
「ちょっと、ボクはついでなの!?」
「あれ?藍染副隊長はいないの?」
「今日は非番や。」
背後から声をかけてきた遊はキョロキョロと見渡して惣右介の存在を確認しとった。
流石に公共の場で恋人同士の空気を出すわけにもいかんし、ましてや隊長と副隊長やしってことで、人前では遊は基本的に敬語で接してくる。
周りに人もいなく、気を許しているローズの前だからか珍しく敬語が砕けている遊はなんや子犬みたいで可愛い。
「あのさ、ボクもいるからね?イチャつかないでよ?」
「別にええやろ〜。なぁ、遊?」
「んー…気をつけましょうね、平子隊長!」
「つれへんなぁ。まぁ、明日は非番やし、久しぶりに"デート"すんねやろ?」
「うん!明日、楽しみにしてます!」
「夜行くから待っときや〜」
タメ口と敬語が混ざっとるやん。可愛いな。
あかん、俺遊にぞっこんやんけ。まぁ、否定はせんけど。
じゃまた、とローズの後ろを着いて歩く遊を見届けて俺はまた隊舎に足を向けた。
仕事もある程片が付いて遊の部屋に向かおうと思うた時、ガンガンガンと大きな警報の音が瀞霊廷内に響き渡った。
隊長全員に招集がかかって一番隊隊舎に来たけど、嫌な感じしかせえへんな。
折角、今日遊の所で泊まって朝からデートの予定やったのに、これやと今夜行くんは厳しそうやな。
魂魄消失案件始末特務部隊にっちゅうやつに選ばれて、現場に行くことになった。
その前にちょっと、と三番隊隊舎に向かうローズに着いて行くと執務室に遊がおった。
退勤直前に警報を聞いて拳西と白のことが心配で残る言うて聞かなかったらしい。
「それで二人は…?」
「まだわかってないんだ。これから真子達と現場に向かう。」
「私もついて行っちゃダメですか…?」
「遊…」
「拳西さんたちに何かあったなら危険なはずです…」
「俺とローズと羅武、それにリサとハッチも行くんや。お前は心配せんと家で待っとき。」
「はい…」
どうしても一緒に行きたかったんやな。
納得出来へんのか遊は少し伏し目がちに返事をした。
「明日のデートの準備しといてや。楽しみにしとる。」
「…うん!」
「さ、時間が無い。行くよ、真子。」
「気をつけて行ってらっしゃいませ。」
「ありがとう。すぐ戻ってくるよ。遊はゆっくり休むんだよ。」
「心配せんとちゃんと寝るんやで?ほな、また明日な。」
俺と遊に"明日”はやって来なかった。
「喜助‼今すぐ尺魂界に戻られへんのか⁉」
「今戻ってどうするおつもりで?」
「遊が…‼」
「虚化が制御できないのに何ができるんですか。」
「なんやと⁉」
「それに‼…私たちは追放された身です。行っても遊さんの元まで辿り着けないでしょう。」
すぐにお前の元に行きたかった。
そうやんな…俺はその"明日"の為に100年やって来たけど、遊にはその”明日”は存在せえへんかったんやもんな。
せめて、生きとるからちょっと待ってて欲しいと伝えられたら…
俺たちの"明日"はもう少し簡単に来たんやろか?
―いつになったら果たせるのか。
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