◆ いつだって君は
太宰がなまえの教室の前に着くと、丁度扉が開かれ、現れた人影に声を掛けた。
「なまえ」
「あン?」
「げッ」
出てきたのはなまえではなく、中原だった。
「なんで中也が教室から出てくるのさ。」
「俺の教室だ、莫迦。」
中原を押し退け教室の中を覗くも、静寂がそこに在るだけだった。
窓は閉められている。
どうやら行き違いで、なまえは既に教室から立ち去った後らしい。
となれば武装生徒会室に戻ったのだろう。
太宰は軽く息を吐くと、ふと中原の異変に気付いた。
「何、その頭。身長だけでなく、中身まで女の子みたいになっちゃったの。」
太宰が中原の片側だけ編み込まれた頭部を指差すと、中原は不思議そうにその辺りに触れる。
「なんだこれ。」
頭上に疑問符をいくつも浮かべ、ペタペタと何度も確かめるように触った。
莫迦にしたように笑っていた太宰だが、あるものが目に入る。
表情が固まり、途端に真顔に戻った。
太宰は中原へ手を伸ばすと、それを力ずくで中原の髪から取り外す。
ブチブチと髪が何本か切断される音がした。
2019.04.21*ruka
前 ◆ 続
<<back
*confeito*