◆ Unable to presents


そういえば、中原くんと誕生日の話はしたことがなかった。
太宰なんかは、何ヵ月も前から自己主張してくるから、忘れようがないくらいなのに。
中原くんは一言も言わないし、そういった素振りも一切見せなかった。
あの女子達は、どこから誕生日という個人情報を入手したのだろうか。
恐るべし、女子情報網。

それは置いといて、誕生日ということを知ってしまったからには何かしてあげたい。
贈答品が一般的だけれど、あげられるもの…
私は視線を落とし、九割方食べ終わっている己の弁当箱を見る。
そこには白米が少しと、先程中原くんに恵んでもらった唐揚げ(食べかけ)しかなかった。
うーんと悩んでると、お弁当を食べ終わった中原くんが片付けながら言った。

「みょうじ、真逆、俺に何かしてやろうとか考えてねえだろうな。」

「考えてるよ、だって誕生日なんだもの。」

基本的に、友人や家族といった大切な人の誕生日とか記念日はお祝いしてあげたい。
でも……

「ごめん、知らなかったから、何もあげられるものがなくて。」

「言ってねぇんだから知らなくて当然だろ、気にすンなよ。」

「あ、似顔絵とかでよければ」

「いらねぇ。」

「だよねぇ…」


2019.05.02*ruka



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*confeito*