◆ 頑張り屋さんにご褒美を


声援を送り続けること、半刻が過ぎた頃だろうか。
正直、少し飽きてしまった私は、辺りを見渡し少しその場を離れた。
目的を済ませ急いで戻ると、丁度、敦くんが助走をつけて防護柵に向かって行っていた。
そして遂に、敦くんは軽やかに高く跳躍をし、無事に成し遂げたのだった。

「い、今の見ました!?」

物凄い勢いでぐるりと首をこちらに向けるものだから、若干驚きながら何度も頷き、拍手を送った。

「すごい、すごい!敦くん格好良い!」

満面の笑みで称賛すると、照れながらも嬉しそうな敦くんが近付いてきた。

「なまえさんの応援のおかげです、ありがとうございます!」

「ふふ、はい、これご褒美。」

冷たい炭酸ジュースを手渡すと、どこまでも晴れやかな笑顔でお礼を言われた。
可愛くてつい頭を撫でたら、ジュースを落としそうになっていた。
笑いながら、また学校でね、と別れた。


2019.06.08*ruka



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*confeito*